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トノの音楽そぞろある記

歌と音楽に関するコンテンツです
Tonhalle@Dusseldorf
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    今回の音楽紀行、2回目の演奏会。会場はDüsseldorfのTonhalle。下調べでその形はわかっていたが、隣接のトラムの駅から眺める姿はまさにドーム型。

     

    1階に入ると、会場をそのまま持ってきたかのような、待合風なつくりになっている。素敵だ。

     

    もっと素敵なのは会場内で、まるでプラネタリウム内にいるように、ところどこのろドーム部分に天空の星が瞬いているごとく照明が配置されている。

     

    そして曲目はブルックナーの8番、指揮は日本でも人気のあるインバルだ。

    個人的にもブルックナーの中で最も好きな8番だが、これが極上の出来。

     

    何かを予感させる第1楽章のAllegro moderato、躍動する第2楽章のScherzo、静寂から次第に音の混合となるAdagioの第3楽章、そして圧倒的なFinaleの第4楽章と、いづれも甲乙つけ難い出来だったが、聴いている限りではその出来ばえは高次元での右肩上がり。

     

    彼の指揮、決して大振りしているわけではないが、強みは「確信的」な指示出しだ。迷いは毛頭なく、「ここはこうだ!」との見えない強い意志がある。また、情緒的にならずに、冷静に音の鳴りっぷりを確かめている「哲学的」な音楽進行もいい。

     

    それを見事に消化し自分たちのものにしたオケも見事。

    これまでの、指揮者とオケの関係がどれほどのものだったかわからないが、その一体感はその音の粒立ちを聴けば一聴にわかる。

    また、気迫迫る姿、一音に込める執念ともいえる姿が空回りすることなく、音に結実していた。

     

    指揮よし、オケよし、会場よしとこれ以上何を望むだろうか。そしてその結果が素晴らしいものにならないはずはない。

    これまで多くの8番を聴いてきたが、曲全体を俯瞰した場合、そのバランスは最高であり、たぶんこれまででベストといえる演奏だろう。

    多くの聴衆も同様な受け止めだっただろう。終演後の万来の拍手とスタンディングオヴェーションがやむことなく続いていた。

     

    Dusseldorfer Symphonikerのドイツ国内での評価は知る由もない。ましてや世界的な名声となるともっとわからない。しかし、演奏会の最終日、マチネーにおけるこの素晴らしい成果を考えたとき、この分野における裾野の広さをまざまざと見せつけられた気がした。ドイツや欧州ではどこの街のオケも今日のような演奏を普通にするのだろうか...

     

    デュッセルドルフの人口は61万余らしい。

    演奏家はいい演奏を地域の人々に聴いてもらいたくて血眼になり、聴衆も「わが町」のオーケストラをこよなく愛している。聴衆が音楽家を育て、音楽家は聴衆を掘り起こす。あまり比較しても意味ないが、残念ながら日本ではN響と言えどもとてもこんな演奏はできない。それは技術だけでは生み出せないものだからだ。

    その意味では、一昨日のウィーン・フィルでさえ、本拠地ではないことを考えればお客さん的な演奏だったかもしれない。

     

    短期間であったが、印象深い演奏に巡り合えたことに感謝。旅の疲れも吹っ飛ぶというものだ。

     

     

    P.S. ここの舞台はさほど広くない。ブルックナー級になると結構キツキツ。また舞台上へは、舞台後方からの階段(たぶん)を上って舞台袖から上がる仕組み。

     

    〈データ〉

     

    Sternzeichen

    8.Mai 2017 11:00 Uhr

    Tonhalle Dusseldorf

     

    Dusseldorfer Symphoniker

    Eliahu Inbal Drigent

     

    Anton Bruckner Symphonie Nr.8 c-moll (Erste Fassung)

     

    【Preise】 39 EUR

    | オーケストラ2017 | 21:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
    Festspielhaus@Baden-Baden
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      連休を利用した音楽紀行。今回は温泉保養地で有名なバーデンバーデンへ足を伸ばしてみた。

       

      前泊地のケルンから乗り込んだDB(ドイツ国鉄)が誇るICに乗ってカールスルーエ乗継で目的の地へ。近づくにつれて森の深さや緑が濃くなってくるのがわかる。自然と深呼吸したい気分に...それは駅から会場近くのホテルへ向かうバスが走る沿道でも益々深まっていく。

       

      会場のFestspielhausは廃駅となった旧駅を改装したものらしいが、外観の壮麗さには「これが駅舎だったなんて」と感じざるを得ない。

       

       

      今日の演目はモーツァルトの39番とブルックナーの4番。それを演奏はウィーン・フィル、指揮は御大ブロムシュテットというのだからたまらない。

       

      モーツァルトが始まったが、その響きのよさはなんというのだろうか。音響の良さで有名な会場だが、残響が凄くて響くのとは対極にある、音の芯も周辺もしっかりと保たれている中で、音がきりりと締まった上での包み込む響きというのだろうか。その心地よさは格別(ドーパミンが結構出ているのかな?)。演奏も超一流でありその上会場もwunderbar!となると、この上何を望むだろうか。

       

       

      休憩時、窓から眺めた周辺の風景もそんな気持ちに見事に応えてくれるもの。

       

       

      そんな会場のすばらしさとウィーン・フィルのテクニックが融合した秀演がブルックナーだ。

      どの楽章も極上の出来だったが、特に印象的だったのは第4楽章。tuttiではたっぷりと鳴らすため全休止でもあるかのような後にadagioで音を開放。それが何回かやって来るさまは、聴きようによってはしつこい印象になるかもだが、「フィナーレはまだかまだか???」と思わせる聴衆の飢餓欲求に訴えるにはこれ以上の表現方法はあるまい。

       

      また、金管群の音の鳴り方の凄まじさは、これまでに聴いたことのないもの。モーツァルトでは「鳴らし過ぎでは?」と感じたが、ブルックナーではその抜群の響きは心地よさとなった。嫌らしい音ではなく、音が抜けていく感覚というのはこういうのを言うのだろう。

       

      そんな秀演・爆演だったので、聴衆のオヴェーションも半端ではなかった。御大ご自身も相当に満足したのか、しきりにオケを持ち上げるなど、いつになく高揚とした感じが見て取れた。

       

      今回はこの演奏会のためだけに来たバーデンバーデンだが、次回はゆっくりと温泉に浸りたいものだ。

       

      P.S. 客席は「ゆるやかなすり鉢状」というより「急な階段状」(東京で言えばサントリーではなく芸劇)だが、舞台の広さは相当なもの。詰めればあと50人は乗れそうな幅と奥行きだ。また、入退場は舞台袖ではなく舞台裏から。違和感ではないが、「おっと、そうきたか...」という感じ。

       

       

       

      〈データ〉

       

       

      FR,5.MAI 2017, 19 Uhr

      WIENER PHILHARMONIKER 

      HERBERT BLOMSTEDT

       

      Mozarts Es-Dur-Sinfonie KV543

      Bruckners Vierte, die "Romantische"

       

      FESTSPIELHAUS BADEN-BADEN

       

      【Preise】 59 Euro

       

      | オーケストラ2017 | 23:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
      L'Arc〜en〜Ciel@東京ドーム
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        思ってもいなかったが、L'Arc~en~Cielのライブに誘われたので東京ドームに行ってきた。

        ドーム自体久しぶりだが、開演1時間前というのに会場外には黒山の人だかりって感じ...

         

        ドームでのライブは舞台が豆粒にしか見えないからか、自席周りもライブに熱中せずおしゃべりばかりで一体感もなかった過去の記憶があるが、いまやそれも昔話か。

        2階席で確かに舞台は豆粒だが、設置されたスクリーンは昔日と違って10m×10mは超える巨大なもの。そのせいか意外に?違和感なかったのは予想外。

         

        正直、この世界の曲にはまったく疎く知ってる曲は1曲もなかったものの、それなりに楽しんだ。

         

        それにしても世の中の動きが激しいなか、25年もファンがついてきてくれることは、偉大な証拠。

         

         

        〈データ〉

         

         

        L'Arc〜en〜Ciel 25th  L'Anniversary LIVE

        2017.4.8(土) 18:00

        東京ドーム

         

         

        【料金】 全席指定 11,000円

         

         


         

         

         

        | その他 | 22:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
        神々の黄昏@東京文化
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          ついにマエストロヤノフスキによる「リング」も第3日を迎えることとなった。そしてそのフィナーレを飾るにふさわしい出来に酔いしれた。

           

          ソリストは例のごとく粒ぞろい(ただただ、ジークフリート役を予定していたロバート・ディーン・スミスが体調不良で降板したのは残念。その代役のアーノルド・ベズイエンは水準以上であるのは確かだが、今日の出演者の中ではいま一歩)

           

          中でも、最も印象的だったのはハーゲンを演じたアイン・アンガー。その何物にも微動だにしない、冷徹な容貌(あくまで劇中の話)から発せられる声は、誰もが望むであろう以上の声で聴衆を圧倒。威圧感に満ちた大柄な体格とも相まって、その存在感は抜群だ。

          そのアンガーに容貌からは想像できない鋭い声で対抗したのがグンター役のマルクス・アイヒェ。長方形状のフレームのメガネをかけた姿は一見学者風、インテリ風とも見えるが、歌いだすとビックリ。アンガーとは別種の存在感ある鋭角的な咆哮は堂々とアンガーと渡り合った。

          当然、ブリュンヒルデ役のクリスティアーネ・リボールも書きつられねばなるまい。よくもこれだけの長丁場を音が減衰することなく歌いきれるものかと。。。

          また、このシリーズで常連となった、金子美香、秋本悠希、藤谷佳奈枝、小川里美の日本人歌手も称賛したい。もはや彼女ら抜きでワーグナーを演じることはできないくらい、声質がワーグナー色に染まっていて聴いていて心地いい。

           

          一方、今回のシリーズで管弦楽を務めたN響。ドイツ系の音楽を得意とすると言われてきたが、今日の演奏も含めて、これほどまでに鋭角的な厳しい音、真によく響く分厚い音を聴いたのはもしかして初めてかもしれない。これは明らかにゲストコンマスのライナー・キュッヒル氏の影響と言っていい。

          誤解を避けるために言っておくが、現在のN響のコンマスが云々ということではない。キュッヘル氏のオーケストラの中で鍛え上げた輝かしい経歴・経験そして絶えることのない向上心を見れば、世界中に彼の代わりになりうる人が何人いることか...

           

          今回の座席は1階の4列30番台。キュッヘル氏とはちょうど対角線の位置関係にある。そのせいでもなかろうが、終始第一バイオリンの厳しい音が飛んでくるのが聴こえる。そして音がする方向を再度よく見てみると、キュッヘル氏がマエストロのわずかな動きも逃すまいという形相でマエストロを凝視しながら、あたかもキュッヘル氏の音しか聞こえないような、猛烈な勢いで弓をしならせている姿。また、次幕が始まるほんのわずかな時間も惜しまず、指の動きを何回も繰り返し練習している姿。

          世界の指折りのレベルになれるのは、こうしたことの積み重ねなのだ。

           

          しかし、そんなソリストやオケの力をいかんなく発揮させるような統率力で、最後まで澱みのない流れを作り続けたマエストロをなんと称賛したらいいのやら。終演後のカーテンコールもオケが引き揚げなかったら30分は続きそうなスタンディング・オヴェーション。

           

          演奏会形式とは言え、こんなに充実した「リング」は当面聴けそうにない。過去四年間、年一回ではあるが夢のような時間を過ごせたことに感謝。

           

           

          〈データ〉

           

          東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.8

          2017.4.4(火) 15:00

          東京文化会館 大ホール

           

          ニーベルングの指輪 第3日 《神々の黄昏》

           

          指揮:マレク・ヤノフスキ

           

          ジークフリート:アーノルド・ベズイエン

          グンター:マルクス・アイヒェ

          ハーゲン:アイン・アンガー

          アルベリヒ:トマス・コニエチュニー

          ブリュンヒルデ:クリスティアーネ・リボール

          グートルーネ:レジーネ・ハングラー

          ヴァルトラウテ:エリーザベト・クールマン

          第1のノルン、フロースヒルデ:金子美香

          第2のノルン、ヴェルグンデ:秋本悠希

          第3のノルン:藤谷佳奈枝

          ヴォークリンデ:小川里美

           

          管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)

          合唱:東京オペラシンガーズ

           

          【料金】 A席 17,500円

           

           

           

          | オペラ2017 | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
          ラインの黄金@びわ湖ホール
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            びわ湖ホールが今年から4年かかがりで「リング」に取り組むというので、先月に続き出かけてきた。

            で、その成果...期待していたが、それ以上の素晴らしい仕上がりだった。

             

            「リング」といえば、演出家にとって「さて、どんな解釈で仕上げようか」とワクワクすることこの上ない楽しみかもしれない。しかし、観る側にとっては凡庸な演出は飽きてしまうが、かといってあまりな”超演出”は勘弁をと思うことしきりではなかろうか。

            また最近の映像技術の進歩で不可能なことはないと思われる中で、技術に頼りすぎるのも見る側の想像力を奪ってしまうような気がする。

             

            今回演出のミヒャエル・ハンペはプログラムに寄せた「『ラインの黄金』の演出について」の中で、演出家の心情について、「『ラインの黄金』の不思議で超自然的な場面に、何とか適切な解決策を見つけようと格闘するのは、われわれ『びわ湖』の演出チームが最初でも最後でもない。このことはよくわかっているつもりである。われわれが成功したかどうか、成功したとしてもどの程度か、これは『びわ湖』のお客様方に判断していただかなければならないだろう」と語っている。

             

            今回の成功の一翼を担う、演出。一言でいえば、台本を忠実に再現する王道を歩みつつ、物理的に困難な場面は映像技術で補完。それによって超自然現象を現実に手繰り寄せるなど、舞台という限られた空間に多様な空間での出来事を持ち込むことに成功したことにある。

             

            ・冒頭のラインの乙女は粗い点描画のような映像のなかに乙女が泳いでいると思えば、いつのまにか実物の乙女が現れアルベリヒをあしらっている。

            ・まさに2、3人分の背丈と恰幅はあろうかというリアルな巨人が現れて歩き、大声を発し、内輪もめし、金塊を運び出す。

            ・ローゲは大蛇に化けたアルベリヒに絞められそうになったかと思えば、小さな蛙に化けたアルベリヒをいとも容易に捕まえてしまう。

            ・ついさっきまで語り合っていた神々がヴァルハラにかかる虹を歩いて入場を果たす。

            これらは一場面の一例にに過ぎないが、わずかな時間の中で行き来する映像と現実に、聴衆が違和感を感じることなく没入できたことは確かだ。

             

            キャストも水準以上の出来。その中でも印象に残ったのは、フライア役の砂川さんとローゲ役の西村さん。

            お二人ともワーグナーはどの程度経験があるのかは定かでないが、力強く張りのある、真っ直ぐな声は魅力的。特に砂川さんは前にも書いたが声質が劇的に変わった感。一皮むけた印象大。

             

            オケは京響だが大奮闘。2時間半という長丁場ながら途中で弛緩することもなく、音のバランスが崩れることもなく最後まで緊張感を持続していたのは称賛されるべき。

             

            しかし最大の功績者はやはりマエストロ沼尻だろう。

            一音もぶれない序奏から始まって、次々に音楽が流れていく中でも全く動揺せず、一定のリズムを刻んでいく。抑揚のある場面でも力みすぎず激情的になりすぎない、抑制された盛り上げ方だ。

            別の見方をすれば「もっと音のうねりを、音の圧を」と望むのかもしれないが、たぶん、劇の流れを大切にしているのではないだろうか。なんといっても全体のバランスは最高だ。それは終演後のマエストロへの嵐のような称賛が証明している。

             

            終演後のオケピットを見ていたら2、3人のオケの方が舞台に並んだソリストに向かって、小さな横断幕なようなものを掲げてエールを送っていた。何が書いてあったか知る由もないが、それほどまでに出演者自身もスリリングだった公演だったに違いない。

            一回でも多くのワクワク感を誰もが味わえば、何かが変化してくるだろう。

             

            今後のびわ湖「リング」、益々楽しみになってきた。

             

             

            〈データ〉

             

             

            びわ湖ホールプロデュースオペラ

            2017.3.4(土) 14:00

            滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール

             

            <ニーベルングの指輪>序夜 ラインの黄金

             

            指揮:沼尻 竜典

            演出:ミヒャエル・ハンペ

             

            ヴォータン:ロッド・ギルフリー

            ドンナー:ヴィタリ・ユシュマノフ

            フロー:村上 敏明

            ローゲ:西村 悟

            ファゾルト:デニス・ビシュニャ

            ファフナー:斉木 健詞

            アルベリヒ:カルステン・メーヴェス

            ミーメ:与儀 巧

            フリッカ:小山 由美

            フラアイ:砂川 涼子

            エルダ:竹本 節子

            ヴォークリンデ:小川 里美

            ヴェルグンデ:小野 和歌子

            フロスヒルデ:梅津 貴子

             

            管弦楽:京都市交響楽団

             

             

            【料金】 13,000円

            | オペラ2017 | 23:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
            アレクサンドル・ネフスキー@愛知県芸術劇場
            0

              先月に続き、「アレクサンドル・ネフスキー」を聴いてきた。場所は名古屋だ。

               

              生演奏を聴くのは3回目でもあるため、今回は今まで気付かなかったような弦のトレモロなどが聴こえ、思わず「はっ」とする瞬間も。

               

              合唱はグリーン・エコー。名古屋では歴史ある団体のようだが初めて聞かせていただいた。人数は女声90、男声40の130人ほど。

              力演ではあったが、物足りなさを感じたのも事実。

               

              曲から想起される、大地からじわじわと湧き上がってくるエネルギーというか熱気が伝わってこない。そのため音が平板に聴こえてしまい、音のうねりが感じられずじまい。第4曲など、マエストロが盛んに合唱も挑発しているのだが、次のffが出で来ない。たぶん、全曲mfかfで歌ってしまっているので、膨らみ切れないのだと思う。

              また楽譜の手持ち。東響コーラスのように「必ず暗譜」がいいかどうかは別として、今日のような激しい曲は一部でもいいから暗譜で歌うべきだと思う。中には暗譜されている方もいたであろうが、楽譜の”ガン見”は曲の勢いを削ぐばかりでいいことはない。

              合唱団には今後のさらなる精進を期待したい。

               

              6曲目に出てくるメゾ・ソプラノ独唱。今日の福原さんは1曲目から舞台上に座っている状態だったが、過去3回聴いた演奏の中ではもっとも詩の意味を導き出した歌いっぷりだった。

               

              ショスタコもハチャトリアンも指揮者、オケともきりり!と引き締まった好演だっただけに、メインプロでの消化不良感が残念だった。

               

              P.S. ハチャトリアンのフルート協奏曲ってどんな曲?と思っていたら、聞き知ったメロディーが...プログラムをよく見ると、確かにヴァイオリン協奏曲の編曲と書いてある。

              去年聴いたユリア・フィシャーの演奏も凄かったが、今日のフルート版も緊張感漲る、素晴らしい演奏だった。

               

               

              〈データ〉

               

              名古屋フィルハーモニー交響楽団 第443回 定期演奏会

              2017.2.25(土) 16:00

              愛知県芸術劇場 コンサートホール

               

              ショスタコーヴィチ:交響詩「十月革命」

              ハチャトリアン:フルート協奏曲(ヴァイオリン協奏曲の編曲)

              プロコフィエフ:カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」

               

              【料金】 A席 5,100円

              | 声楽曲2017 | 22:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
              コジ・ファン・トゥッテ@新国立劇場
              0

                砂田さんからお誘いをいただいて、オペラ研修所修了公演に行ってきた。演目は「コジ・ファン・トゥッテ」

                 

                フィオルディリージを演じた砂田さんは、贔屓目なしに演技・歌唱とも素晴らしく、キラ星のごとく輝いていた。

                第1幕の「Come scoglio immoto reata」、第2幕の「Per pieta,ben mio perdona」とも低域から高域までと音の幅があるにも関わらず、その心情を見事に吐露した歌唱は公演中最大の拍手を得ていた(チラ見した限りではマエストロも同様な称賛)

                本来なら砂田さんはコロラトゥーラを駆使するよう曲を最も得意としていると思うが、その技も持っている彼女だからこの難曲も見事に歌えたのだと思う。

                 

                デスピーナの城村さんとドン・アルフォンソの氷見さんも好演。

                城村さんはその声質が役柄に求められるものとピタリとハマるよう。レチタティーヴォとアリアも明瞭で音楽に一番乗っていた。その自然な演技と晴れやかな笑顔も加わり、聴いていて心地いい。

                氷見さんは、貫禄十分な太い声と落ち着いた身のこなしで舞台を引き締めた功績は大。

                 

                この公演で17期生の方は修了となるが、スタートラインに立ったばかりの心境だろうか。今後のそれぞれの課題に対して精進を続けていってほしい。

                 

                しかしこのオペラ、よーく聴いていると出演者のアンサンブルがしっかりしないと魅力が大きく損なわれるうえ、その中で突然アリアが出てきたりと、素人目で見ていても難しい作品。やはりモーツァルトだ。

                 

                 

                〈データ〉

                 

                新国立劇場オペラ研修所終了公演

                2017.2.24(金) 18:30

                新国立劇場中劇場

                 

                モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ

                 

                フィオルディリージ:砂田 愛梨

                ドラベッラ:小林 紗季子

                グリエルモ:大野 浩司

                フェルランド:水野 秀樹

                デスピーナ:城村 紗智

                ドン・アルフォンソ:氷見 健一郎

                 

                指揮:高関 建

                管弦楽:藝大フィルハーモニ管弦楽団

                合唱:東京藝術大学他

                 

                【料金】 全席指定 4,320円

                 

                 

                | オペラ2017 | 23:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
                連隊の娘@びわ湖ホール
                0

                  不覚にも前日の朝起きたら、のどが...「もしやカゼ???」と思いながら、その日の夕方にガラガラ声に。

                  夜中に何回も起き喉の痛みを感じながら「明日行くのは無理かも...」と思うが、幸いにも咳が断続的に出ず、熱もないので予定通りびわ湖ホールへ向かった。

                   

                  今日の演目は「連隊の娘」。お話はご存知のように「連隊の中で育てられた娘が、紆余曲折あるものの愛する人と結ばれる」というハッピーエンドストーリー。もっと演奏されてもよさそうな演目だが、演出の中村さんも上演に先立つ話の中で「テナーにハイCが何回も出てくるので、人に恵まれないと難しい」とのこと。

                  ソリスト陣は、一部ゲストもいるが、基本的にホール専属の「びわ湖ホール声楽アンサンブル」のメンバーが担った。

                   

                  さて内容だが、来た甲斐があった、充実の演奏会だった。

                  まず、主役二人の出来が出色。

                  マリー役の藤村さん。マリーという役を存分に演じきったのではなかろうか。

                  前半、連隊という男性中心社会で育ったので、その”おてんば”感をさりげなく、随所に出すことに成功。後半は一転して華やかな衣装に身をつつつんだものの、育った環境の癖が抜けないことに四苦八苦?自由なマリーが全編に溢れていた。

                  トニオ役の山本さんもいい。声楽アンサンブルOBとのことだが、のびやかな声は天性のものか。ハイCがある、有名な”Ah! mes amis, quel jour de fête!”も難なく歌い切り、聴衆の盛大な喝さいを浴びていた。

                   

                  歌唱は原語のフランス語。その他の歌手陣も総じてレベルは高いが、敢えて気になった点を挙げれば、そのフランス語がぎこちなくレベル以上のものに仕上がっていない方もいたことか。今後の課題の一つだろう。

                   

                  中村さんの演出もいい。演出は聴衆の想像力を引き出すきっかけになればいいのでは?と日頃思っているので、シンプルながらも奇をてらわず、作品の時代背景を聴衆に伝えている姿に共感。

                  持論になるが、オペラが日常生活に溶け込んでいる欧米とは違い、手堅い演出こそ日本でオペラの裾野を広げることになると思うのだが...

                   

                  そして今日の公演の成功は何といっても、マエストロ園田の手腕にある。

                  音楽にとって大事な”間”の取り方が絶妙!大阪交響楽団の方々も素直に反応。その結果、音楽がスムースに進行し、オケや歌手陣から出される音が生き生きと聞こえた。そんな感じなので全員が気分よし。その結果、出演者も聴衆も肩を張らずに作品を楽しめたのではないだろうか。

                   

                  最近、地方での演奏会に通うようになった。それは「すべてが東京にあるわけではない」、別の言い方をすれば、「どれだけ魅力的なプログラムをどんな思いで届けているか。そして演奏の満足度はどうか」という視点から眺めてみたいと思ったからだ。

                  そして今日の演奏を聴いてみて、改めて当初の思いは変わらないと思った。

                  地方でオペラ公演をすること自体、人材、経費、時間とも相当な覚悟が必要だろうことは想像に難くない。であるなら、創意工夫して満足度の高い公演を続けていってほしいと願うばかり。びわ湖ホールもその一翼を担っていると思うし、今後も大いに期待したい。

                   

                  来月から始まる沼尻さんの「リング」、当然行きます!

                   

                  P.S. 返す返すも残念なのは、自らの体調が不十分だったこと。普通の体調ならもっと楽しめたと思うし...周りに座った方々にはMy咳が邪魔にならないよう最大限の配慮をしたつもりですが。。。次回以降気を付けますのでお許しを。

                   

                   

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                  びわ湖ホール オペラへの招待

                  2017.2.11(土) 14:00

                  滋賀県立芸術劇場びわこホール 中ホール

                   

                  ドニゼッティ:歌劇「連隊の娘」

                   

                  指揮:園田隆一郎

                  演出・お話:中村敬一

                  管弦楽:大阪交響楽団

                  出演:びわ湖ホール声楽アンサンブル

                     マリー:藤村江李奈(ソプラノ)

                     トニオ:山本康寛(テノール)

                     侯爵夫人:本田華奈子(メゾ・ソプラノ)

                     シュルピス:砂場拓也(バリトン)

                     オルテンシウス:林 隆史(バス・バリトン)

                     農夫・侯爵夫人:増田貴寛(テノール)

                     伍長:内山 建人(バス)

                   

                  【料金】 5,000円

                   

                  | オペラ2017 | 22:15 | comments(0) | trackbacks(0) |
                  La Damination De Faust@Opera Royal de Wallonie Liege
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                    ついに来てしまった、リエージュへ。

                     

                    「ベルギー第五の都市は?」と聞かれて即座に答えられる人は相当なベルギー通以外無理であろう。それほどまでに我々にはなじみがない街ではあるが、「ファウストの劫罰」が演じられるということを聞いて、遥々その街を訪れることになった。"あの日"からなぜそれほどまでに嵌まってしまったのかは自分でもわからないが...

                     

                    今回はオペラとして上演されるので演出付。そしてその演出はモーツァルトで一時代を築いたRuggero Raimondiが担当するという。ということで今回はその演出から一言。

                     

                    舞台上の物理的な構造物といったら、半円柱の工事現場の足場のようなものが一対のみ。あとは映像やロールスクリーン通した光でイメージを描いていく手法が取られた。しかし目で見て感じる限りではオーソドックスを基本としつつ、イメージが膨らむ箇所は独自の世界観で表現していた。

                     

                    冒頭の"農民たちのロンド"で、農民たちが踊りながら入ってきて歌ったり、"地下酒場"の場面では飲んだくれらしく振る舞うなど、台本を忠実に再現した(というかあまりイメージを広げようがないかもだが...)箇所。ただし、あまりに素直すぎて陳腐化の印象を受けてしまう場合もある。最終の「地獄落ち」の場面。舞台に映し出されたのは鎖状に連なった骸骨。ちょっとイメージが安易のような気がしたが...

                     

                    また"ハンガリー行進曲"の場面では、戦場の実際の映像(たぶん第一次大戦等)や写真が映し出され、それらから飛び出したように合唱出演者がその場面にあった演技をしていくというもの。中には近撮で目を覆いたくなるような写真もあったりだったが、これも現実の姿を直視させたかったのだろうか。

                     

                    そんななか秀逸と思えたのが、"Dors...で始まる"地の精と空気の精の合唱〜ファウストの夢"の場面。

                    白銀色の衣装を全身にまとった精たちが這うようなかたちで薄暗い舞台上に静かに散らばり、固まり、ファウストとともにその夢を表現しているのだ。身動きさえ困難な状況でのアンサンブル、そして入りと同じく静かに引いていく終曲の場面などは見ごたえ十分。

                    今日の合唱、”農民たち”や”飲んだくれ”のように、舞台上でいきいきと歌い振舞う場面もよかったが、むしろこの”精霊たち”や”復活祭の合唱”など、バックコーラスのように舞台上に姿を見せないで歌う場面のほうがより精緻にそして舞台と一体化している感だった。

                     

                    さて、ソリスト陣。手堅い歌唱で最後まで楽しませてくれたが、しかしなんといってもIldebrando D'Arcangeloが一頭地を抜いているのは明らか。

                    この曲上演の成功のポイントの一つは”劇の進行係”的な役割もあるメフィストフェレスの出来如何にあるが、マルチな彼はメフィストフェレスも見事にメフィストフェレスらしく歌ってくれた。歌唱の押し出しや機敏な演技も申し分ない。

                     

                    指揮者やオケの切れ味が今一歩であったため、”三幕終曲の3重唱”や”地獄への騎行”、そして”地獄落ち”も勢いという面ではもっとほしかったとは思う。しかし、海外でこの曲を体感できたことで、この曲の違った魅力に接することが出来た気がする。

                     

                    また、このリエージュという街。人口は20万人にも満たない地方都市であるが、歴史的な経緯もあるだろうが、国立のオペラハウスが運営されている。こういった街が他の欧州の街にもあるんだろうなと思う時、当地の人々にとってオペラは日常に存在することを改めて感じた次第。

                     

                    P.S. 幕上に字幕が...よく見るとフランス語、オランダ語、ドイツ語の3カ国対応。この街の位置関係がよくわかる。

                     

                     

                     

                    〈データ〉

                     

                     

                    Opéra Royal de Wallonie-Liège

                    dimanche 5 fevrier 2017    15:00

                    Hecter Berlioz:La Damnation De Faust

                     

                    DURÉE : 2:45

                    LANGUE : Français

                    DIRECTION MUSICALE : Patrick Davin

                    MISE EN SCÈNE : Ruggero Raimondi

                    CHEF DES CHŒURS : Pierre Iodice

                    ARTISTES : Paul Groves(Faust), Nino Surguladze(Marguerite), Ildebrando D’Arcangelo(Mephistopheles)

                     

                    【Tarif】 24.50 Euros

                     

                     

                    | 声楽曲2017 | 11:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
                    アレクサンドル・ネフスキー@オペラシティ
                    0

                      「アレクサンドル・ネフスキー」を演るというのでオペラシティへ行ってきた。オケは東響。といえば合唱はもちろん東響コーラス。さてどんな演奏になるだろうか。

                       

                      昨年初めて、それも生で聴いたのでメロディーはそれとなく覚えていた。

                       

                      7曲から構成されるが第1曲はオケのみ。なんとなく目を閉じて聴いていたら、いつのまにかゆったりとした豊饒な男声合唱の響きが流れてきた。第2曲に入ったのだ。

                      「満たされた至福の時」と言ったら大げさだが、こんなに染み入る人の声に感動したのは久しぶりかもしれない。

                      第4曲、力強い合唱が曲を引っ張り、カンタータ最大のクライマックスである第5曲へ。「氷上の激戦」という名前がついているとおり、アダージョから戦闘を描写したオーケストレーションが凄まじい。東響も見事なアンサンブルでその”戦い”を描写していた。途中合唱も入ったが、オケにあれだけ鳴らされるとどんな合唱団も聴こえまい。

                      第6曲はメゾ・ソプラノ独唱。演奏が始まると舞台上手から歩みだし、終わると場を共有するかのようにそのまま舞台上のイスに座り、終曲の合唱を聴いていた。

                       

                      そんな演奏会風景だったが、演奏自体は素晴らしく聴衆の盛んな喝さいを浴びていた。東響ではここ何年かだけみても、すでに4〜5回はこの曲を取り上げているのではという感覚なので、合唱も歌い方がこなれている気がする。

                       

                      しかしちょっと冷静に考えると、合唱だけの話をすれば合唱らしい響きが堪能できたのは第2曲のみ。誤解を避けるためにあえて言うが、これは合唱団の出来不出来の問題ではなく、曲の構成だから仕方のない話。

                       

                      こういうけたたましい曲はリズムも印象的で確かに派手であるが、後々まで印象に残るかというとどうだろうか?

                      昨年の大阪での公演評でも書いたが、声楽曲の中では取り上げられる頻度がそれなりにあることが益々不思議に感じられる公演後の印象だった。

                       

                      そうは言うものの、来月は名古屋で同曲の演奏会がある。3回聴けば何か見えてくるかも???

                       

                       

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                      東京交響楽団 東京オペラシティシリーズ 第95回

                      2017.1.21(土) 14:00

                      東京オペラシティコンサートホール

                       

                      リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」

                      プロコフィエフ:カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」 *

                       

                      指揮:飯森 範親

                      メゾ・ソプラノ:エレーナ・オコリシェヴァ *

                      合唱:東響コーラス *

                       

                      【料金】 A席 6,000円

                       

                       

                       

                       

                       

                       

                      | 声楽曲2017 | 22:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
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