Der Freischutz@Semperoper Dresden

  • 2018.02.12 Monday
  • 23:12

第2日目は「魔弾の射手」

 

ドイツロマン派の記念碑的作品と言われる割には、今では全曲聴ける機会は多くはない。ただ、Semperoperとは縁が深い。

というのも、約100年前の1817年、作曲者のウェーバーはここの指揮者になった。また、個人的にはクライバーのCD(1973年録音)はよく聴いたが、彼の振ったオケがここのオケだった。

 

まず序曲。暗い森を思わせる低弦がうなる。そして象徴的なホルンの響き。ああ、これがSemperoperの響きかと勝手に思ってしまったほどうっとり。

それに続く第一幕の開幕の華やかな”Viktoria! Viktoria”の合唱、マックスの甘い”Durch die Wälder,durch die Auen"、カスパールの不気味に陽気な”Hier im ird'schen Jammertal"(これなどは、ベルリオーズ「ファウストの劫罰」のメフィストフェレスのアリアに通じるものがある)などなど、旧友に会ったかのような感慨に浸りながら聞き入った。

続くどの曲も良く練られて書かれたようで、豊かな旋律が続く。さすがはロマン派を切り開く端緒になった曲だと改めて感銘。

しかし、問題が一つ。

 

伝統的なジングシュピールの形式をとっているため、当然ながら会話が挿入されている。その内容は劇進行に必要であるにもかかわらず、残念ながらドイツ語が分からない悲しさ...あらすじを知っていれば音楽だけでも十分楽しめるが、会場内で笑いがあるところで笑えないのはつらい。

 

前日の”オランダ人”同様、この曲も合唱が大活躍の曲だ。冒頭の曲ももちろんだが、第二幕の不気味な”精霊たちの合唱”、そしてもっとも有名な第三幕の”狩人の合唱”など、随所に合唱が散りばめられているのがたまらないし、そのアンサンブルも申し分ない!

(ただ、”狩人の合唱”は演出かどうかわからないが、合唱団員の中のひとりも指揮。それが原因かどうかわからないが、2回とも最後のTralalalalaで合唱が0.5秒?ほど走ってしまったのは勢いがつきすぎた、ご愛敬か???)

 

2日間聴いてみて、いわゆる”ドイツ的なるもの”が残っているとすれば、ウィーンやミュンヘン、そしてベルリンではなく、このドレスデンではないだろうかという気がしてきた。

それは単にinternationalが他の都市に比べては進んでいないというだけであり、街を歩いてもどこかゆったりとした時間が流れているという感じがするというだけの話だが...

 

古都ドレスデン。また来たい街である。

 

 

 

 

〈Data〉

 

 

Der Freischutz

Semperoper Dresden

19:00 Uhr Montag 12.02.2018

 

Musikalische Leitung: Alexander Soddy
Inszenierung: Axel Köhler


Ottokar: Sebastian Wartig
Kuno: Michael Eder
Agathe: Julia Kleiter
Ännchen: Carolina Ullrich
Kaspar: Matthias Henneberg
Max: Torsten Kerl
Der Eremit: Alexandros Stavrakakis
Kilian: Bernhard Hansky
Erste Brautjungfer: Gabriele Berke
Zweite Brautjungfer: Rahel Haar
Dritte Brautjungfer: Jana Hohlfeld
Vierte Brautjungfer: Heike Liebmann

 

Sächsischer Staatsopernchor Dresden
Sächsische Staatskapelle Dresden

 

 

【Internet Normalpreis】 54,00€

Der fliegende Hollander@Semperoper Dresden

  • 2018.02.11 Sunday
  • 23:58

約1年半ぶりのドレスデン。前回はSemperoperで演奏を聴く機会がなかったが、今回は今日明日と2夜にわたってここでの演奏を聴くために事前手配して万全の準備。

今日はまず「さまよえるオランダ人」だ。

 

オペラはどんな演出をするかで大方の評価が決まる。ワーグナーなら尚更のことだろう。今日見た舞台もどう解釈したらいいのかわからない点は多い。

第一幕、舞台は荒涼たる海岸線を思わせる風景。舞台左が海をイメージさせるが船の影はどこにもない。舞台左手前には”陸”と”どこか”を結ぶ渡り橋がかけられている。そして舞台上にはひとりの少女。そして出てきたのが葬列で誰かが埋葬された様子。

第二幕、冒頭の「糸紡ぎの合唱」では、妊婦姿の女声合唱団員がベッドに横たわり、マリーの介添えのもと、次々に出産していく。

第三幕、ベッドに横たわるダーラント。一方で人々の衣装は婚礼姿。そして鞄をもったゼンタはひとりどちらともなく旅立っていく。

浅学の自分でさえ言えるのは、少女とゼンタは一心同体。ゼンタの過去の姿が少女であり、最後はゼンタ自身が解き放されて旅立っていく。

 

しかし、演出がどうのこうの言う前に、まず驚愕したは生み出された音の図太さだ。

よくDresdenの音は”重厚”と形容されるが、まさしくその通りで、音に厚みがあるだけでなく、キュッ!としまり、それがまたよく響く。席は4層構造の最上階(4 Rang mitte)だったが、馬蹄形の劇場空間全体が共鳴装置になったかのように、最上階まで手に取るような音が飛んでくる。

それに加えて、オケのアンサンブル力の凄さと言ったら、半端ではない。音楽が指揮者の意図通りに縦横無尽に流れ続けているため、聴いている側が気を抜いたら乗り遅れそうになる。まさに生きた音が流れ続けているのだ。

そこに更にハイレベルの歌唱がプラスされて、音と歌が完全にシンクロし一体化。これ以上何を求めるだろうかというレベルの音の饗宴に圧倒された。

考えるに、卓越した個々の技術に加えて、その音楽が持つであろう微妙な間やフレージングを全員が共有しているからこそ、より優れた演奏が生み出されているのだと思う。
 

各ソリストも文句のつけようがない歌唱だったが、特に一人といえばゼンタのElena Pankratovaだろう。「ゼンタのバラード」は誰もが注目するが、平然と歌いきっていた。

 

また、合唱の上手さと言ったらこれまた比類なきものだ。

第一幕の終幕の男声合唱、引き続く第二幕を飾る「糸紡ぎの合唱」、そして第三幕の「水夫の合唱」はもちろんのこと、各幕にあるソリストと相前後する合唱を含め、音量、アンサンブルも含めて完璧!こんなに歌い込まれたアンサンブルを聴かせてくれる歌劇場もそう多くはあるまい。合唱ファンにはたまらない!

(終幕の”幽霊船”と水夫たちの合唱の掛け合い、聴くところによると”幽霊船”は外注らしいが、生だったのだろうか?一瞬録音を流して合わせてた?そこだけが気になったが...掛け合い自体は完璧だった。)

 

自分もこれまで海外も含め多くはないがオペラを見てきたが、今日のような異次元の体験は初めてだ。正直、ウィーンでもミュンヘンでも体験しなかった。また、日本のオケがオペラを演奏した場合と比較すると、”こなれ感”が全く違う。厳しい言い方をすれば、別物と言っていい。でもそれはやむを得ないことかもしれない。

 

今日の作品はちょうど今から175年前、ここで初演された。第二次大戦のドレスデン爆撃で一度は建物は瓦礫と化したものの、息吹は脈々と受け継がれているのだろう。人が伝統を作るが、伝統もまた人を作る、そう思いながら稀有な体験をした劇場を後にした。

 

 

 

 

〈Data〉

 

Der fliegende Holländer

Semperoper Dresden

18:00 Uhr Sonntag 11.02.2018

 

Musikalische Leitung:Asher Fisch 

Inszenierung:Florentine Klepper

 

Holländer:Andrzej Dobber
Senta:Elena Pankratova
Daland:Georg Zeppenfeld
Mary:Christa Mayer
Erik:Tomislav Mužek
Steuermann:Simeon Esper


Sächsischer Staatsopernchor Dresden
Sächsische Staatskapelle Dresden
Vokalensemble der Theodore Gouvy Gesellschaft e.V.

 

【Internet Normalpreis】 62,00€

明日を担う音楽家による特別演奏会@オペラシティ

  • 2018.02.06 Tuesday
  • 23:41

文化庁の海外研修制度の修了者による演奏会に行ってきた。女声4、男声4の計8名が、ソロやデュエットを繰り広げた。

みなさん、もうキャリアを積み始めている方たちばかりだが、気になった方を何人かコメント。

 

最近聞くこのような若手の演奏会では”女声優位”の印象が強いが、今日は男声が健闘?

まずは、伊藤達人さん。

1曲目はヴェルディをデュエットでだったが、力みなく心地よく響く高音がスパっと出るのがいい。歌い方にもこなれ感が出ていて、無理なく気持ちよく歌っている雰囲気がいい。見栄えする体格もプラスして舞台映えする。2曲目のワーグナーは悪くはないし、聴衆の喝さいも大きかったが、個人的にはもっと陰影感が出ないとワーグナーらしくない気がした。声質が明るすぎるのかもしれない。声質を考えたら、ワーグナーというよりヴェルディ向きだろう。最近聞いた若手のテノールの中では3本指に入るであろう逸材だ。

次は小堀勇介さん。

1曲目はロッシーニだったが、素直な伸びのある高音が印象的。ご本人もコメントに”自身のロッシーニ演奏に更なる磨きをかけ...”とあるが、ロッシーニに惚れ込んでいるようだ。日本では兎角イタリアものと言えばヴェルディやプッチーニに偏っている気がするが、是非ともロッシーニと言ったら小堀さんといわれるよう精進してほしい。モーツァルトのデュエットもそつなくこなしていた。

女声ではまず、種谷典子さん。

確か新国の研修生の演奏会でも歌ったのが、今日歌ったプーランクだったと思う。その時の見事な演奏が記憶に残っている。ご本人もコメントで”このアリアは、私の調子を確認する曲のひとつになっているように思います”とおっしゃっているが、彼女の自己診断はどうであろう。わたしの聴く限りでは、前回聴いた時の印象が強いため今日は張りが足りなかったような気がするが、出来は悪くない。他2曲のデュエットは完璧。もしかしたら、合わせるのがうまいのかもしれない。

最後は、清野友香莉さん。

なかなか、ラクメのこの曲をあれほど歌える方は多くはいまい。それほどテクニックと持ち合わせている声質は素晴らしい。たぶん、「オランピアのアリア」も難なく歌える方だろう。一方で、モーツァルトはパッとしなかったのは残念。

 

パンフに載っているプロフィールを見ると、8人中6人が新国の研修所修了者。偶然かもしれないが、それなり逸材がそろっているということか。

いずれにしてもまだまだ始まったばかりで、真価が問われるのはこれから。きついだろうが、精進していってほしい。

 

 

〈データ〉

 

明日を担う音楽家による特別演奏会

2018.2.6(火) 19:00

オペラシティコンサートホール

 

藤井麻美 メゾソプラノ<平成28年度・ペーザロ>

 ロッシーニ 『セビリアの理髪師』より 「今の歌声は」

小堀勇介 テノール <平成27年度・ボローニャ>

 ロッシーニ 『オテロ』より 「どうして聞き入れてくれないのだ」

清野友香莉 ソプラノ <平成27年度・ニュルンベルク>

 ドリーブ 『ラクメ』より 「若いインドの娘はどこへ」

門間信樹 バリトン <平成26年度・ニューヨーク>

 マスネ 『エロディアード』より 「儚い幻影」

種谷典子 ソプラノ <平成28年度・ルガーノ>

 プーランク 『ティレジアスの乳房』より 「いいえ、旦那様」

今野沙知恵/藤井麻美

 R・シュトラウス『ばらの騎士』より「献呈の二重唱」

 

(休憩)

 

種谷典子/伊藤達人

 ヴェルディ『リゴレット』より「あなたは心の太陽」

清野友香莉/原田勇雅

 モーツァルト『ドン・ジョバンニ』より「お手をどうぞ」

藤井麻美/門間信樹

 モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』より「あなたにささげた心」

種谷典子/小堀勇介

 モーツァルト『後宮からの逃走』より「なんという運命」

今野沙知恵 ソプラノ <平成26年度・ニュルンベルク>

 ストラヴィンスキー 『放蕩児の遍歴』より 「トムからの便りもない」

伊藤達人 テノール <平成28年度・ベルリン>

 ワーグナー 『ローエングリン』より 「はるか遠い国に」

原田勇雅 バリトン <平成27年度・パルマ>

 ジョルダーノ 『アンドレア・シェニエ』より 「祖国の敵」

 

指揮:大勝 秀也

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 

【料金】 B席 1,000円

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