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タグふれんず

トノの音楽そぞろある記

歌と音楽に関するコンテンツです
古事記@東京文化
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    「古事記」を演るというので行ってきた。というより正確には黛作品だから...と言ったほうが正しいかもしれない。しかも、この作品、2001年10月、演奏会形式で日本初演されたが、舞台版では今回の公演が日本初演という。オーストリア・リンツ州立劇場の委嘱により作曲されたこともあり、原語がドイツ語。

    まず、観世さんが物語の幕開けを語る。そしてタクトが振り下ろされると、強烈な音が会場をうならせた後、断続的に弦の不協和音が繰り返される。舞台では「ミクロからマクロヘ」「現代から太古へ」を表現する映像が流れている。。。この時点で集中力は一気に高まり、「これから何が起こるのだろう?」という期待に包み込まれた。
    なにより、あの弦によって繰り返される響きは印象的だ。眼を閉じて聞くと、雁の群れがかなたの楽園に向けて翼を羽ばたかせているようにも聞こえた。それはまるで聴衆を遥かな創世の世界へ誘うかのようでもあった。

    舞台は極々シンプル。衣装も太古日本を想起させるものだし、照明も鮮やかな光のコントラストで場面場面を表現したもの。十分で効果的な演出。
    一方、楽曲は骨太だ。天才黛の大胆で創造性に富んだオーケストレーションが全体を引きしめ聴衆を飽きさせない。ある時は激怒し、ある時は慰め、ある時は悲嘆にくれる。。。しかしどんな旋律でも共通していることがある。それはそれはうつくしい。。。

    随分前だが、NHKTVで「日本人はどこからきて、どこに行くのか?」といった番組をやっていた記憶がある。
    国難とも言える大震災に見舞われた今年。こうした時に接したかもしれないが、演奏中、「日本人とは何か?」を深く深く考えていたような気がする。
    そして日本人でありながら、「古事記」を読んだこともないような自分との葛藤???のような感覚。

    ソリストではまず、甲斐栄次郎さん。歌唱、演技とも一頭地を抜いている感がある。福原寿美枝さんも申し分ない。また、浜田理恵さんもその存在感が際立っていた。

    また、この作品で重要なのが合唱だ。オペラでの合唱は部分的な語り部として、あるいは民衆として用いられることが多い。しかし、この作品では終始、合唱が多用される。合唱によって物語をリードしていると言ってもいい。
    その合唱が極上だった!!! 団員は初めて接するであろうし、決して易しくはないであろうが、あの一体感は完璧に近い。公演の成功に大きく寄与したともいえる。

    そうしたソリスト、合唱、オケを統率し一体感のある作品に仕上げたのは、指揮の大友さんの力量だろう。冷静で深い譜読みによって、最後まで作品の輪郭をくっきりと描き分けた。調べてみると2001年の演奏会形式の初演時も大友さんだったようだ。

    黛さんは民放の音楽番組の司会を長く務め、クラシックをより身近なものとした。一方で、晩年には音楽以外での活動や発言が注目された。そのことと、その作品に触れる機会がどうなったのかは確認はしていない。。。

    しかし、そうしたことの有無に関係なく、純粋に、日本人の作品に触れる機会が少ない現状はどうだろうか?1996年の世界初演から15年経た今回、本国日本で舞台初演されたという事実をどう受けとめるべきだろうか?
    日本人の美的感覚に溢れた、日本人しかできない西洋音楽の姿は黛さん以外にも多々あると思う。
    来年3月には広上さんの指揮で、オール黛作品のプログラムが組まれている。今から楽しみだ。

    そんなことを思いながら帰路についた。


    〈データ〉

    東京文化会館 50周年記念事業
    50周年記念フェスティバル 記念オペラ
    「古事記」
    2011.11.23(水) 14:00
    東京文化会館
     ※11.20(日)も同キャストで上演

    指揮:大友直人

    イザナギ : 甲斐栄次郎(バリトン)
    イザナミ : 福原寿美枝(メゾソプラノ)
    スサノヲ : 高橋 淳(テノール)
    アマテラス : 浜田理恵(ソプラノ)
    オモイカネ : 妻屋秀和(バス)
    アシナヅチ : 久保田真澄(バス)
    天つ神/クシナダ : 天羽明惠(ソプラノ)
    使者 : 吉田浩之(テノール)
    語り部 : 観世銕之丞
    風の神/見張りの神 : 門間信樹(バリトン)
    雨の神 : 清水理恵(ソプラノ)
    雷の神 : 羽渕浩樹(バリトン)
    雲の神 : 高橋華子(メゾソプラノ)
     
    合唱 : 新国立劇場合唱団/日本オペラ協会合唱団
    管弦楽 : 東京都交響楽団 

    【料金】 E席 4,000円
     

    | オペラ2011 | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
    魔笛@テアトロ・ジーリオ・ショウワ
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      団でお世話になってる大音さんが出演するというので行ってきた。場所はテアトロ・ジーリオ・ショウワ。名前は知っていたが、初めての会場だ。しかし新百合ヶ丘の変貌ぶりはスゴイ。。。

      人材育成オペラなので、キャストも若手中心。若手らしい溌剌とした演技に今後の活躍の芽を期待したい舞台だ。

      さて、印象に残った方はといえば、まず大音さん。
      その可憐な姿から紡ぎ出されるアリア、たおやかで自然な演技でパミーナになりきり、聴衆を舞台に引き入れた。メルヘン的な部分も多いこの作品の中で、大人のオペラファンも魅了するに十分だった。パパゲーノとの二重唱"Bei Männern, welche Liebe fühlen” はその醸し出す雰囲気が最高だ!今日の舞台で歌唱・演技とも、もっともバランスよく持てる力が発揮されていた。

      パパゲーノ役の大石さんも熱演。天性のものか、その明るさで舞台上を所狭しと駆けまわり、最後まで舞台をリードした。パパゲーノのようなキャラクターを演じきれるのは貴重だ。声質も自分好みのハイ・バリトン系。今後とも注目していきたい。

      武士役の澤さんも伸びやかで艶のあるテノールだ。テノールは一声で会場の雰囲気を激変させるインパクトがほしいが、澤さんにはそれがある。機会があればもっとじっくり聴きたい。

      歌唱は原語だが、セリフは日本語。変則的だが、変な裃を取り払い、素直に劇を楽しめる条件としては最適かもしれない。仮に歌唱の内容がわからなくても(今日の舞台は字幕付だったが)、セリフによって歌い手がどんな気持ちでいるかの推測できるからだ。
      かのムーティは字幕付が大嫌いというが、わかる気がする。字幕を追って歌唱の内容がわかるだけでは生のオペラをほんとうに楽しいだとは言い難い。舞台全体の雰囲気を味わってこそオペラ本来の醍醐味がある。

      外国のオペラハウスの引っ越し公演ももちろんいい。しかし今回のように気軽にオペラを楽しむことができる機会が増えることはもっと必要な気がする。


      〈データ〉
      人材育成オペラ公演
      「魔笛」
      2011.11.20(日) 14:00
      テアトロ・ジーリオ・ショウワ
      ※11.19公演あり。別キャスト

      指揮:星出 豊

      ザラストロ:東原 貞彦
      タミーノ:藤原 海考
      夜の女王:乾 ひろこ
      パミーナ:大音 絵莉
      パパゲーノ:大石 洋史
      パパゲーナ:枝松 瞳
      武士機н嫌 一了
      ほか
      合唱:藤原歌劇団合唱部

      【料金】 A席 5,800円

      | オペラ2011 | 21:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
      サロメ@東京文化
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        ついにというか、大隅センセが「サロメ」を演る!という日が来た。「センセのサロメ観たいです」と直訴?してから3年で実現するなんて...
        胸ふくらませて会場へ。

        舞台は左右と裏の三方を壁で囲み(プログラムに寄れば、第三次世界大戦?の核シェルター・防空壕がイメージされているという)、中央に「最後の晩餐」をモチーフにした食卓のテーブルを置いた、シンプルなもの。衣装も現代風の黒白。照明も蛍光色でかなり明るい。

        音楽が始まった...しかし音が飛んでこない。
        自分はドイツ語の意味が分かるわけではないが、音楽とともに奏でられたドイツ語の持つ響きはなんとなくわかるつもりだ。しかし、その響きが伝わってこない。歌手が何語を歌っているのかさっぱりわからない。
        問題は歌手の発音か?オケとの音のバランスか?あるいは語るように流れる音楽の性格か?...
        いづれにしても舞台上で、淡々と劇が進んでいった感が否めない。そこにはこの作品が持つ怪しい魅力から発せられる緊張感を感じることはできなかった。
        この傾向はオケにもいえることで、終始安全運転。スリリングな音のうねり・キレは残念ながら無かった。
        というわけで、劇と音楽がそれぞれバラバラに演じ演奏しているような感じだ。一体感から醸成される突き抜ける高揚感がない。全員が作品をこなしきれていないようだ。

        演出はP・コンヴィチュニー。総じて今回の演出は自分には理解できない演出だった。
        舞台上で人間の理性を失った行為を複数回見せる必要があるのか?最大の見せ場であるサロメのヴェールの踊りの解釈はなんなのか?等々

        常に新しいものを求めなければ聴衆も飽きてしまう。というより新しい発想で取り組むことが演出家としての宿命でもあるだろう。
        でも舞台を見る側の、作品及び作品の生まれた文化的な背景への理解度はバラバラだ。ましてやひとり一人の持つ倫理観まで言ったら百人百様。果たして今日の演出がどれだけの聴衆に受け入れられたのか?

        自分は精々半歩先を行くぐらいの演出が好きだ!オペラにショッキングなことは求めていない。
        作品を楽しみたいのであって、演出を楽しみにしているわけではないからだ。

        残念ながら、最後まで自分の中で楽しめないまま舞台が終わった感じだ。大隅センセの良さもあまり伝わってこなかった。

        終演後、大きな拍手と「ブラーヴォ!」があったが、どこがよかったのか具体的に聞いてみたい気分だ。他の聴衆と自分との受け止め方の差があまりにあった演奏会だった。


        〈データ〉
        東京二期会オペラ劇場
        サロメ
        2011.2.23(水) 14:00
        東京文化会館

        サロメ:大隅智佳子
        ヘロデ:片寄 純也
        ヘロディアス:山下 牧子
        ヨカナーン:友清 崇
        管弦楽:東京都交響楽団
        指揮:シュテファン・ゾルテス
        演出:ペーター・コンヴィチュニー

        【料金】 C席 8,000円



        | オペラ2011 | 23:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
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