Szenen aus Goethes Faust@Wiener Konzerthaus
- 2015.11.22 Sunday
- 23:16
ウィーン第二夜。今日はKonzerthausで、日本でも馴染みのD.ハーディング指揮でシューマンの声楽大曲「ゲーテのファウストからの情景」を聴いた。
「シューマンの合唱曲?」といってもピント来ない方が普通であろう。それほどに日本では馴染みはないが、聴くと「シューマン節」が随所に聞かれる。
この作品、これまで日本で演奏されてことがあるのか不明だが、今後もほとんどないに等しいだろう。この地でもそう多くはないのでは?と考えると極めて貴重な機会である。
今日の主役はファウストなど3役を歌った、ゲルハーヘルだろう。言葉一つひとつを大切に情感を持って歌いきる歌唱ぶりは、地味ではあるがドイツ語作品においては一頭地を抜いている。
切れ味鋭い響きを聞かせた80人ほどの合唱も称えられるべき結果だった。オペラハウスの合唱がこんなにも美しい響きを聞かせてくれるとは...女性合唱のppでは天井から音が降り注がれるさまである。また、児童合唱も負けず劣らす天使の声を響かせていた。
初めて入った会場は、いわゆる神殿の列柱が客席を取り囲むようにずらりと配置されているような構造。天井も高く、まさに箱の中に最良の空間を作っている感じ。その為か、音がよく響き、特に歌手陣の一音一音の核までが鮮やかに聴こえるのには驚いた。
ウィーンまで来て聴いた甲斐のある、満足のいく演奏会だった。
ただ、気になることがひとつ。これはクラシック界の世界的な課題かもしれないが、聴衆の年齢層が高いことだ。満員に近い会場だったが若者と呼べる聴衆が1割もいただろうか???若手演奏家は次々出てきても、聴衆も徐々に変わっていかないとこの先がおぼつかない。
シューマンには他の声楽大曲で「楽園とペリ」というオラトリオがある。こちらのほうは数年前、年一回行われる、芸大の「フィルハーモニア・合唱定期」で演目として取り上げられたが、今日の作品より更にドラマチックな佳品である。こちらも是非是非再度聴いてみたいが、いつのことになるのやら。。。
P.S 終演後、歩いて宿泊先のホテルに戻り、エレベーターで一緒になった紳士二人のうち一人から声をかけられた。「今のコンサートに行ったんですか?」。プログラムを持っていたのでそう思ったのだろう。「よかったですね。音が芯まで聞こえる感じですよね。ホールがいいんですかね」と自分。「オケがいいんですよ。そうじゃないとあんなに響かない。」
「ウィーンへはいつから?」との質問に、予想もしなかった答えが返ってきた「明日あそこで演奏するんです。都響の演奏会で」心の中で「あっ...」と叫びながらも、「私、行きますのでがんばってください」と言い残して、お互いの部屋に戻った。
旅はおもしろい。
〈データ〉
Sonntag,22. November 2015 ,19.30 Uhr
Wiener Konzerthaus , Großer Saal
Schumann: Szenen aus Goethes Faust
Wiener Symphoniker,Wiener Singakademie,
Opernschule der Wiener Staatsoper,
Christian Gerhaher (Bariton)・・・Faust, Pater Seraphicus, Dr.Marianus
Christiane Karg (Sopran)・・・Gretchen, Una Poenitentium
Alastair Miles (Bass) ・・・Mephistopheles, Bouser Geist
Christina Landshamer (Sopran)・・・Marthe, Sorge, Magna Peccatrix
Gerhild Romberger (Mezzosopran)・・・Mangel, Maria Aegyptica
Jennifer Johnston (Mezzosopran)・・・Noth, Mulier Samaritana, Mater Gloriosa
Andrew Staples (Tenor)・・・Ariel, Pater Exstaticus
Franz-Josef Selig (Bass)・・・Pater profundus
Daniel Harding: Dirigent
【Preis】 EUR 36.00