エリヤ@サントリーホール

  • 2018.09.15 Saturday
  • 22:41

職場の同好の士に誘われて、久しぶりにサントリーホールへ行って来た。曲目は大好きなメンデルスゾーンの大作「エリヤ」。

一度は是が非でも歌いたい!と思い続けること何年だろう???

過去歌うチャンスはあったが、結果的に途中で断念。今日演奏会があることはずいぶん前から知っていたし、可能なら「聴かせる側」に立ちたいとは思っていたが、諸般の事情で日程的に困難となり今回も断念。

そうした思いの強い曲のうえ、指揮が伸び盛りの山田和樹、合唱、オケとも手兵と言える武蔵野合唱団、横浜シンフォニエッタとくれば、いやが上でも演奏内容に期待がかかる。

 

合唱団は約160名程度。女声が120名、男声が40名といったところ。男声は「あとプラス10はほしいかな?」とも思ったが、まあギリギリセーフの数。

ソリストは8人。第7曲にダブルカルテットがあるためだが、一般的には経費的な理由から4人のソリスト+αで演奏されることが多いことを考えると、主催者の意気込みを感じる。

さてさてその演奏内容はというと...期待以上の素晴らしさに感激してしまった。

 

何と言っても賞賛すべきは、オラトリオとしても出ずっぱりの感がある合唱の、その質の高さだろう。

それは冒頭からも予想できたことだが、バスの導入、序奏に続く”Hilf, Herr! Hilf, Herr! Willst du uns denn gar vertilgen?  "は男声も含めて、声量もバランスも申し分ない。そして子音も明確に飛んでいる。

次第に乗ってきた合唱、第11曲の”Baal, erhöre uns! あたりからは見事な男声、女声のシンクロ感。指揮のマエストロ山田も挑発する?鼓舞するかのように、腕を上につき上げての動作が印象的。

第20曲の ”Dank sei dir, Gott, du tränkest das durst'ge Land!"で第一部を見事に締めた後、休憩を挟んでの第二部も好調。

特に印象深いのは、第24曲 "Wehe ihm, er muß sterben! "、第36曲 "Gehe widerum hinab! 、そして終曲第42曲の "Alsdann wird euer Licht hervorbrechen wie die Morgenröte,”あたりだろうか。

とにもかくにも、生命が宿った一音一音は溢れんばかりに躍動し続け、それがさらに演奏する喜びがほとばしっている団員の心に火をつける...

アマチュア合唱のあるべき姿の理想形がすべて出た、力演名演と言っていいだろう。

 

ソリストでは、何といってもエリヤ役の青山さんだろう。

この曲はエリヤが劇を引っ張るので、その出来いかんによって成否が大きく左右される。頭の中には愛聴盤(サバリッシュがゲヴァントハウスを振った1968年録音盤)のテオ・アダムによる、”So wahr der Herr, der Gott Israels lebet, vor dem ich stehe...”の深く響きわたる声が深く刻まれているので、どうしてもあの歌唱を求めてしまうのだが...

青山さん、その出だしは声質がバリトンのためやや軽いかな?と感じてしまったが悪くはない。そして10番あたりからエンジンがかかてきて、第一部は最後まで鬼気迫る演技と歌唱で走り抜け、合唱との掛け合いも文句なしの出来。第二部も好調さは続き、最後まで劇を引き締めた。

 

最後までも美しさと力強さを失わず、作品をサポートし続けた横浜シンフォニエッタの合奏力も見事の一言に尽きる。

そして、出演者の力を引き出し、統率し、ある時は腕を跳ね上げ、ある時は指揮台上で飛び上がるなど、全身で指揮した感のあるマエストロ山田。

その結果は、2時間半に及ぶ演奏時間も長いとも感じさせず、途中弛緩することもなく、合唱作品を聴いてホール全体が魂を持った、至福の響きに満たされた感のある演奏として結実した。

これほどオケと合唱がまさしく一体化して、突破力を持った凄味のある演奏は最近ではないのではないだろうか。

 

合唱団のことに関していえば、個人的にも30年以上前から知っているが、創立から60年以上に渡って第一線で活躍している合唱団もそう多くはないだろう。それもいくつかの合唱団の連合体ではなく、単体としてなのだから、その運営は努力の継続の賜物と言っていいだろう。

今後とも是非、数多の合唱団の目標となるような活動を続けていってほしいと願うばかりだ。

 

最後の音が鳴りやみ、マエストロがタクトを下して暫らくするまで余韻に浸っていた会場。そんな見事な演奏によって、幸せなひと時を感じられたことに感謝。

それにしても、この「エリヤ」、やはりとんでもない作品である。演りたい!感が一層高揚した。

 

P.S. 些細なことだが...

渡されたプログラムにはドイツ語と日本語訳が全曲掲載されていたが、ホールも字幕付きでしっかりサポート。丁寧なサービスが光る。しかし、演奏中、ふと手元の対訳を見てホールの字幕を見ると、言葉の順番や訳が違う箇所が若干?あることに気が付いた。まあ、字幕のスペースの関係かもしれないが少々気になった。

 

 

〈データ〉

 

山田和樹 武蔵野合唱団指揮

横浜シンフォニエッタ創立 20周年記念

武蔵野合唱団 第51回 定期演奏会

 

2018.9.15(土) 16:00

サントリーホール

 

メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」

 

指揮:山田 和樹

管弦楽:横浜シンフォニエッタ

 

ソプラノ:田崎尚美、澤江依里

メゾソプラノ:清水華澄、杉山由紀

テノール:望月哲也、櫻井亮

バス:青山 貴、狩野賢一

 

合唱:武蔵野合唱団

 

【料金】 S席 6,500円

 

 

 

 

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