ドン・パスクァーレ@湖北地区会館

  • 2016.11.23 Wednesday
  • 22:10

砂田さんが出演するというので我孫子まで行ってきた。演目は「ドン・パスクァーレ」。内容はご存知の通り、「お年を召してからの年の差婚は慎まなくては...」という教訓めいたセリフで終わる喜劇であるが、演奏は想像以上に充実したものであった。

 

まず、ドン・パスクァーレ役の金子さんが手がけたという演出、派手ではないが今に生きる我々の”共感”を感じさせるもの。

たとえば冒頭「序曲」に乗って登場してきたパスクァーレは介護を受けるかのような状態で、使用人と思しき女性2人にズボンを履かされる始末。ところがミニスカートの若い女性は通り過ぎる時は急に”シャキッ!”となって別人のよう。その視線の先は女性の足に...

 

そんな小技の利いた演出をバックに、出演者の歌唱も演技も非常に秀逸。

ドン・バスカーレ役の金子さんは太くて響く声で主役を最後まで熱演。役になり切った衣装や演技も相まって最後まで楽しませてくれた。

砂田さんも初めてノリーナ役を歌うとのことだが、これがまた素晴らしい!ある時はチャーミングだったり、ある時はいじらしかったり、そしてある時は小悪魔的だったり...と、自在に立ち振る舞いを変える役をきっちりと演じ分けていた。それも高い歌唱力とともに。

エルネスト役の曽我さんは軽く伸びやかな声が魅力だし、マラテスタ役の薮内さんはスカッとするバリトンだが、演技も堂に入ったもの。

たぶん金子さんが指導していると思われる合唱関係の方も、他の役柄(冒頭のお二人の女性も)で参加。有名な「なんて果てしない騒ぎでしょう」も歌って健闘。

さらに驚くのは、抜粋かと思いきや全3幕を通したこと。あっという間の2時間半だった。

 

先日、びわ湖ホールで聴いたばかりの今日の演目。比べるつもりはまったくないが、本来の”演技+歌”を見たい聴きたいのなら、このくらいの小ホールが理想だ。やはり演技者の表情がわかるのは歌にも相乗効果があり、特に”歌”を聞かせるドニゼッテイは最適だ。

また、地域でのささやかな活動の成果としてプロもアマも楽しめる場づくり。そんな地道な活動も今後とも応援していきたいと感じたひと時であった。

 

 

〈データ〉

 

PICCOLO TEATRO ABIKO

2016.11.23(水) 14:00

我孫子市湖北地区公民館

 

ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクァーレ」(全3幕)

 

ドン・パスクァーレ:金子 亮平

ノリーナ:砂田 愛梨

エルネスト:曽我 雄一

マラテスタ:薮内 俊弥

公証人:浅山 裕志

 

指揮:澤木 和彦

ピアノ:中村 文美

合唱:The Lacas

 

【料金】 3,500円

 

 

 

 

 

 

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