藝大フィルハーモニア合唱定期@奏楽堂

  • 2016.11.27 Sunday
  • 22:15

ここ何年かは毎年11月になると気になる「藝大フィルハーモニア合唱定期」。今年はお気に入りウォルトン「ベルシャザールの饗宴」がメインプロなので気合も充実。チケットは早々と手配。そして前半はデュリュフレ「レクイエム」というのだから合唱ファンには申し分のないプログラム。因みに今年はデュリュフレ没後30年という。

 

前半のデュリュフレ。有名ではあるが個人的には初めて聞く機会(演奏する機会もあったのが残念ながら逃してしまった 。)この曲はよくフォーレの延長線上にあるといわれるが、聞けば納得の感。様式からだろうが、曲全体が持つ雰囲気がフォーレの作り出した世界に力強さと壮麗さといった、新たな命を吹き込む感じ。

演奏は申し分ないし美しかった。が、この曲をオケ付きで演奏するには約180人になろうとする人数は正直多すぎると感じたことも確か(今回はメインプロに合わせただろうから仕方ないが...)

確かに理論的には何人だろうと「ハモる」ことは可能だが、現実は人数が増えれば「ハモらない」要素も増えることになるので、なかなか難しい。また、曲が持つ雰囲気から考えても、より少ない人数で聴かせたほうが心に染み入ってくるような気がするのだが...

藝大生なら半分の90人程度でも「Domone Jesu Christe」や「Sanctus」や「Libera me」の持つ情熱を十二分に表現できるだろう。

 

後半のウォルトン。金管が咆哮し、バンダが両サイドから鳴り響くけたたましい曲には、前半とは打って変わって180人は最適の人数。冒頭のアカペラでの男声合唱等男声が活躍する曲を意識してか、前半とは変更し、男声をセンターに、その両サイドを女声が固める配置に。これも納得の感。

よく訓練された藝大生の集中度の高さとその若さの爆発、尾高さんのメリハリの利いた指揮、そしてバリトンの黒田さんの、未完ではあるがまっすぐに通るその伸びやかな声、すべてが相まって演奏は最後まで緊張感に溢れ、これまで聴いた同曲の中では最高の快演だった。

 

向井さんは公演のプログラムノーツに、デュリュフレのレクイエムを「抑制されたシックな響きの中、合唱そのものの美しさが際立つ「祈り」の音楽」と、ウォルトンのベルシャザールの饗宴を「輝かしいブラスの響きを特徴とする大編成のオーケストラと大合唱によって描き出される壮大なスペクタクル」と書かれている。まさにその通りで、一つの演奏会で、大きく性格が異なる声楽作品を堪能できたことは、藝大ならではかもしれない。

 

それにしても、そんな2曲を見事に歌い切った藝大生の皆さんには、心からから ”素敵な演奏ありがとう!お疲れ様”と言いたい。

 

P.S. プログラムに挟み込んであったチラシの一枚が気になった。そこには「勝部太 東京藝術大学退任記念演奏会」との文字と勝部さんの写真が。

ある時代は個人的には、バリトンといえば勝部さん。確かある合唱団でご一緒させたいただいたことも...時は移ろうもの。

 

 

〈データ〉

 

藝大定期 第379回 藝大フィルハーモニア管弦楽団 合唱定期演奏会

2016.11.27(日) 15:00

東京藝術大学奏楽堂

 

デュリュフレ:レクイエム 

ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」*

 

指揮:尾高 忠明

メゾ・ソプラノ:野間 愛

バリトン:西久保 孝弘

バリトン:黒田 祐貴 *

オルガン:千田 寧子

 

【料金】 全席自由 3,000円

 

 

 

 

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