Tonhalle@Dusseldorf

  • 2017.05.07 Sunday
  • 21:34

今回の音楽紀行、2回目の演奏会。会場はDüsseldorfのTonhalle。下調べでその形はわかっていたが、隣接のトラムの駅から眺める姿はまさにドーム型。

 

1階に入ると、会場をそのまま持ってきたかのような、待合風なつくりになっている。素敵だ。

 

もっと素敵なのは会場内で、まるでプラネタリウム内にいるように、ところどこのろドーム部分に天空の星が瞬いているごとく照明が配置されている。

 

そして曲目はブルックナーの8番、指揮は日本でも人気のあるインバルだ。

個人的にもブルックナーの中で最も好きな8番だが、これが極上の出来。

 

何かを予感させる第1楽章のAllegro moderato、躍動する第2楽章のScherzo、静寂から次第に音の混合となるAdagioの第3楽章、そして圧倒的なFinaleの第4楽章と、いづれも甲乙つけ難い出来だったが、聴いている限りではその出来ばえは高次元での右肩上がり。

 

彼の指揮、決して大振りしているわけではないが、強みは「確信的」な指示出しだ。迷いは毛頭なく、「ここはこうだ!」との見えない強い意志がある。また、情緒的にならずに、冷静に音の鳴りっぷりを確かめている「哲学的」な音楽進行もいい。

 

それを見事に消化し自分たちのものにしたオケも見事。

これまでの、指揮者とオケの関係がどれほどのものだったかわからないが、その一体感はその音の粒立ちを聴けば一聴にわかる。

また、気迫迫る姿、一音に込める執念ともいえる姿が空回りすることなく、音に結実していた。

 

指揮よし、オケよし、会場よしとこれ以上何を望むだろうか。そしてその結果が素晴らしいものにならないはずはない。

これまで多くの8番を聴いてきたが、曲全体を俯瞰した場合、そのバランスは最高であり、たぶんこれまででベストといえる演奏だろう。

多くの聴衆も同様な受け止めだっただろう。終演後の万来の拍手とスタンディングオヴェーションがやむことなく続いていた。

 

Dusseldorfer Symphonikerのドイツ国内での評価は知る由もない。ましてや世界的な名声となるともっとわからない。しかし、演奏会の最終日、マチネーにおけるこの素晴らしい成果を考えたとき、この分野における裾野の広さをまざまざと見せつけられた気がした。ドイツや欧州ではどこの街のオケも今日のような演奏を普通にするのだろうか...

 

デュッセルドルフの人口は61万余らしい。

演奏家はいい演奏を地域の人々に聴いてもらいたくて血眼になり、聴衆も「わが町」のオーケストラをこよなく愛している。聴衆が音楽家を育て、音楽家は聴衆を掘り起こす。あまり比較しても意味ないが、残念ながら日本ではN響と言えどもとてもこんな演奏はできない。それは技術だけでは生み出せないものだからだ。

その意味では、一昨日のウィーン・フィルでさえ、本拠地ではないことを考えればお客さん的な演奏だったかもしれない。

 

短期間であったが、印象深い演奏に巡り合えたことに感謝。旅の疲れも吹っ飛ぶというものだ。

 

 

P.S. ここの舞台はさほど広くない。ブルックナー級になると結構キツキツ。また舞台上へは、舞台後方からの階段(たぶん)を上って舞台袖から上がる仕組み。

 

〈データ〉

 

Sternzeichen

8.Mai 2017 11:00 Uhr

Tonhalle Dusseldorf

 

Dusseldorfer Symphoniker

Eliahu Inbal Drigent

 

Anton Bruckner Symphonie Nr.8 c-moll (Erste Fassung)

 

【Preise】 39 EUR

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