エルガー@東京芸術

  • 2010.10.30 Saturday
  • 22:07
体調不良&台風接近という悪条件?だったが、エルガーの声楽作品なので、頑張って行ってきた。

エルガーの代表的な声楽作品は「ゲロンティアスの夢」だが、それだってクラシックファンさえ知らない作品。今日の「生命の光」に及んでは、一部の相当なマニア?じゃなければ知らないし、聞いたこともない作品だろう。というわけで、日本初演らしい。
幸いにも?隠れ英国音楽ファンの自分はかなり前にCDを購入し聞いてるからなんとなく曲の感じはわかる。
そもそもエルガーの曲は叙情的な部分が多く、悠長さ、間延びする雰囲気をいかに引き締めるかが演奏の際の要と思う。

合唱はもちろん東響コーラス。自分は去って5年?ほど経つが、それ以来初めて聴くかもしれない。
人数は約200名。団の方針でもちろん暗譜。じっくり聴いてみた。

確かにこれまでの演奏歴は輝かしいもので、もはやアマチュアを超越している。オケ付属の合唱団ではイチバンだろう。この曲を暗譜であそこまで歌えるのもすばらしい。
しかし、今日は全体的に声質が硬い。声がフワーっと会場全体に響き渡る感じがなく、ダイレクトに客席に届く感じだ。声はもちろんよく出ているんだが...
またffも歌いすぎの感がしないでもない。エルガーの曲想でのffは、たぶん普段の8割ぐらいのほうがピッタリはまると思う。いわばヴェルレクのDies Iraeを突然聴かされた感じで、違和感さえ感じる。

ソリストでは小林さんがピカイチだった。内容を十分理解し、表現力に満ちた歌唱で演奏を引き締めた。他のソリストの方ももっとドラマの中に入っての歌唱を聴かせてほしかった。特に語り手って進行役だから非常に重要だと思うのだが...

指揮は大友さん。かなり前から始まった、この「東京芸術劇場シリーズ」でエルガーの作品を精力的に取り上げてきた方だ。合唱とソリストのバランスなど、もっと曲を引き締めてほしかったが、無難にうまくまとめた感じだ。

こんな自分なりの感想とは裏腹に?終演後客席からは「ブラーボ」と盛大な拍手が続いた。NJPとアルミンクの「七つの封印」でもそうだったが、他のお客さんが受けた印象と自分の印象が違うのは、なんとなくもどかしい、複雑な気持ちになるものだ。


〈データ〉
東京交響楽団 東京芸術劇場シリーズ 第106回
2010.10.30(土) 18:00

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番
エルガー:オラトリオ「生命の光」(日本初演)

ヴァイオリン:ローラン・アルブレヒト・ブロイニンガー
ソプラノ:小林 沙羅
メゾ・ソプラノ:永井 和子
テノール:クリストファー・ジレット
バリトン:クエンティン・ヘイズ ※アシュレイ・ホランドの代役
合唱:東響コーラス

【料金】 C席 3,000円

ウォルトン@サントリー

  • 2010.10.23 Saturday
  • 17:27
 いやいや ウォルトンの名曲「ベルシャザールの饗宴」を年2回聞けるとは思わなかった。

合唱は晋友会。最近聞いた他団の演奏では正直あまり印象に残らなかったが、今日は絶好調、すばらしかった!
人数は150人程度。この曲を演るには十分だ。男女のバランスもいい。
この曲、ダイナミックで劇的な箇所がいくつかあるため、普通のアマチュア合唱団だとffを目いっぱい歌ってしまい、音楽をぶち壊してしまう危険性がある。
しかし、そこは晋友会。ほどよく抑制された、理性的なffで音楽を進めていった。それは出だしの Thus spake Isaiah を聞いてもわかる。最後までオケとの一体感は崩れず、音楽がスムースに流れていった。まさに、心地いい感じだ。
オケも申し分ない。力まず、自然体で音楽をしていた。
欲を言えば、ソロの三原さん、もっとアクを出して欲しかった、演技して欲しかった。この曲でのソロは綺麗な声で歌うことではなく、語るように歌うことを求めていると思うのだが...

しかししかーし、指揮の尾高さんの力によって公演は成功に導かれた。
出だしこそ慎重だったものの、時間を追って右肩あがりの状態。テンポ、間の取り方、オケと合唱のバランス、いづれも絶妙である。いわゆる曲のツボを心得ている。英国音楽をよく研究し理解している。
日本人で英国音楽を取り上げる指揮者は尾高さんや大友さん、あとは秋山さんぐらいだろうか。隠れ英国音楽好き人間(?)にとっては、もっと取り上げる指揮者が増えてほしいなぁ。

今日の演奏、英国の方が聴いていたら泣いて喜ぶだろう。それほど、本国(英国)に持っていっても ブラーボ必至。声楽曲では久しぶりに満足する内容だった。


〈データ〉
日本フィルハーモニー交響楽団 第624回 東京定期演奏会
2010.10.22(土) 14:00
サントリーホール

オネゲル:交響詩「夏の牧歌」
ラヴェル:バレエ組曲「マ・メール・ロワ」
ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」

指揮:尾高 忠明
バリトン:三原 剛
合唱:晋友会合唱団

【料金】 A席 5,700円

飯守×ワーグナー@東京芸術

  • 2010.10.22 Friday
  • 23:37
ワーグナーは嫌いではないが、かと言って日常的に聞き込んでるかと言えばそうではない。
そういう方、結構いるのではないだろうか?何を言おう、自分もそうである。
自分も「リング」全曲のCDはあるがまだ手をつけられずいる。さてなぜか?

重厚長大であるため、何か特別なもの、近寄りがたいもの、恐れ多いもの(?)、聞き込みすぎてはいけないもの、極度に緊張を強いるものという感覚か?

しかし今更ではあるが、今日の演奏を聞いて今まで自分が持っていたワーグナー感が少し変わった。
荒れ狂う海より静かで穏かな大海原が広がっている、洗練された響きに満ち溢れた世界であることを。

そんな世界を見せてくれたのも、読響の分厚い精緻なアンサンブル力とワーグナーを得意とするマエスロ飯守の力量が結実したことためだ。
並みのオケや指揮者ではこんな奥深いワーグナーの世界は決して描けない。

マエストロ飯守。これほどまでにワーグナーの世界を体現できる日本人指揮者はいない。ワーグナーの音楽が体の中に染み込んでいる。全身全霊を込めた、縦横無尽の指揮ぶりだ。
年齢は関係ないと思いつつ、よくあれほどまでに時に激しく、時にやさしくオケをドライブして作品を組み立てていけるものだ。当然暗譜なのもわかる。譜面を見ていたらあんな指揮は不可能だからだ。
聴衆も1曲1曲、固唾を呑んで見守った。

「リング」抜粋を、思い描く音の世界で聞けた。豊潤な響きに満たされた至福のとき。ああ、シアワセ...
敢えて敢えて1曲選ぶとすれば、<神々の黄昏>の"夜明けとジークフリートのラインへの旅"がよかったなぁー

前半のモーツァルト「プラハ」もいままで聞いた中では最高ではないだろうか。溌剌とした小気味いいテンポが作品の魅力を最大限発揮していた。
3F席で聞いたが、「プラハ」のフルートとオーボエの部分、手に取るように響いていた。芸劇でこんな体験をしたのは初めて。


〈データ〉
読売日本交響楽団 第176回 東京芸術劇場 名曲シリーズ
2010.10.22(金) 19:00
東京芸術劇場

モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
ワーグナー:「ニーベルングの指輪」から抜粋
   楽劇「ラインの黄金」から・・・"ヴァルハラ城への神々の入城"
    楽劇「ワルキューレ」から・・・"ワルキューレの騎行"
                                        "魔の炎の音楽"
    楽劇「ジークフリート」から・・・"森のささやき"
    楽劇「神々の黄昏」から・・・"夜明けとジークフリートのラインへの旅"
                                      "ジークフリートの葬送行進曲"
                                        "ブリュンヒルデの自己犠牲"

指揮:飯守泰次郎

【料金】 G席 3,000円

P.S. 今年は9月にワーグナーのオペラ合唱曲も歌ったし、自分なりのワーグナーイヤー?

   

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