ブルックナー4番@オペラシティ

  • 2012.05.16 Wednesday
  • 23:25
ブルックナーやマーラー。個人的に盛んに聴いたのは90年代。「世紀末」をキーワードに東京のオケが盛んに取り上げたり、CDもかなり発売されたいたような気がする。日本人では朝比奈隆や若杉弘、海外ではインバルやヴァントが精力的に活動した。
もちろん今でも盛んに演奏はされているのであろうが、90年代は90年代なりの意味や解釈の仕方があったはずだ。
ブルックナーやマーラーを演奏する、今日的意味とは?そんなことも感じながら、マエストロ飯守のブルックナーツィクルス第1回目に足を運んだ。

マエストロはプログラムのあいさつ文の中で次のように語っている。
「彼の交響曲の確立された世界に何かを加えようという野心を持つことは全くなく、ただひたすらにこの偉大な人類の遺産を、いまの私たちの時代の中で演奏し続けていくべきであると思うのみ」
「オーケストラという巨大な楽器が奏でる音楽の中には、極端に言えば、この世が創造されて以来の宇宙、自然、人類の歴史のすべてが含まれている」

話は過去に遡るが、1996年から、年3回(3曲)1998年までの3年間をかけてブルックナーの全交響曲を演奏したチクルスがあった。若杉弘&N響のブルックナー没後100年を記念したものだ。自分にとって印象深かったので、その時の4番のプログラム・ノートをひっぱり出してきて読んでみた。
筆者の小鍛冶邦隆は4番の構成でこう書いている。

「ロマン的」という意味は、漠然とした気分や情景を暗示していると思われるが、ブルックナーは1890年に書いたパウル・ハイゼへの手紙の中で「第一楽章」のホルン主題を「市庁舎から1日[朝]を告げるものであり、第2主題は「シジュウカラの鳴き声、ツィツィペー」であると書いている。また「第二楽章
は歌、祈り、セレナーデ。第三楽章は狩と、森での昼食時奏される手回し風琴」を描いている。...「第4」においてはベートーヴェンの田園交響曲以来の、自然(外界)との交感が重要な主題となっていることがわかる。

ブルックナーの交響曲を聴くと、懐に抱かれているような、あるいはゆりかごに揺られているような心地よさ感じるの自分だけではあるまい。それは楽曲の中に、壮大な自然にも通じる奥深い響きが内在していることにほかならない。そうした内在するものを表現する時は奇をてらわない、自然体な演奏でなければケンカしてしまうに違いない。特に今日の4番は曲の構成からもそうあるべきだ。

今宵の演奏、鋭角的にならず、十分なタメと粘りを持った後に開放するという、コントロールを必要最小限に抑えたとも言えるもの。オケもマエストロによく反応。ソロパートも力むことなく美しかった。
圧倒的な演奏であった。これこそが、マエストロがいう「ひたすら演奏する」という意味かもしれない。いわば祈りのようだ。

演奏終了後の20分余りの「ブラーヴォ」。作曲者とマエストロの意思が聴衆に確実に伝わった一夜であった。次回も楽しみな一夜になりそうだ。


〈データ〉
東京シティ・フィル・ハーモニック管弦楽団 第259回定期演奏会
  飯守&東京シティ・フィル ブルックナー交響曲ツィクルス 第1回
2012.5.16(水) 19:00
東京オペラシティ コンサートホール

モーツアルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(ハース版)

ヴァイオリン:ジェニファー・ギルバート
ヴィオラ:ハーヴィ・デ・スーザ
指揮:飯守 泰次郎

【料金】 A席 5,000円

ラ・フォル・ジュルネ@東京国際フォーラム

  • 2012.05.03 Thursday
  • 23:55
縁あって、マエストロ曽我とラ・フォル・ジュルネに参加することができた。

練習の過程で、何回かマエストロのパッションに触れることができたが、それはそれは至福の時間。
理解度・テンションが100倍にもなったような気がした。。。

その集大成である以上、本番も大満足!!! ウマイヘタを超えた何かが存在する。


〈データ〉
ラ・フォル・ジュルネ・ジャポン 2012
2012.5.3(木) 16:30〜東京国際フォーラム

展示ホール キオスクコンサート
ナマオケサロン By 曽我大介

ショスタコービッチ:「祝典序曲」
ボロディン:オペラ「イーゴリ公」から「ボロヴェッツ人の踊り」
チャイコススキー:序曲1812

指揮:曽我 大介
管弦楽:アマデウス・ソサイエテイ管弦楽団
合唱:一音入魂合唱団

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