グレの歌@オーチャード

  • 2013.02.23 Saturday
  • 23:52

そこには「覚悟」があった。

思い起こせば2年前の3月20日、東フィル100周年記念演奏会として企画されていた「グレの歌」。
自分も早々にチケットを買って楽しみにしていた。しかし、歴史に残る大震災が起ころうとは誰しも想像だにしなかった。
やむなく「グレの歌」も中止。チケットを払い戻したあの時のやるせなさを今でも思い出す。団員のみなさんの無念さには足元にも及ばないが。。。

その演奏会が再度上演されるという。まさに楽団員の執念が結実したというほかない。

演奏はその執念そのもの。荒々しい中にも優しさがにじみわたる。それもこれも尾高さんの人間性が満ち溢れたもの。端正でスマート。目前の超立体構造物を一つひとつ積み上げていくようだ。ねばり強く丹念に。。。

巨大オケも緩まない。ひるまない。恐れない。無心に指揮者の意図どおりに動いていく。ライナーノーツで尾高さんが語っている。
「簡単にはやらせてくれない作風であり、指揮者には巨大なオーケストラ、巨大な全体をいかにうまくアンサンブルさせるかが常に問われるのである。私には来ないだろう、小澤先生級が振るものだろうと、とさえ思っていた。だから、この指揮を引き受ける際には相当の覚悟が必要だった。相当の覚悟をもって臨まなければならない作品なのである」

「覚悟」の結果は、日本人による「グレの歌」上演の金字塔となった。
P.S. 大入り袋出ました

〈データ〉
東京フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会
シェーベルク 「グレの歌」
2013.2.23(土) 15:00
オーチャードホール

指揮:尾高 忠明
ヴァルデマル王:望月 哲也
トーヴェ:佐々木 典子
山鳩:加納 悦子
道化クラウス:吉田 浩之
農夫:妻屋 秀和
合唱:新国立劇場合唱団

【料金】 A席 6,000円

こうもり@東京文化

  • 2013.02.21 Thursday
  • 23:31
大好きな「こうもり」、しかも坂井田さんがアデーレ役で出演!ということでワクワクして上野へ。
この作品、ビデオも恵まれていて、手元にもクライバー版とベーム版がある。
パメラ・コバーンのロザリンデ、ジャネット・ベリーのアデーレ、ヴィントガッセンのオルロフスキー、いいですねーそんなイメージをどう体現してくれるのかで頭の中はいっぱい!

私的な注目は、ロザリンデのチャールダッシュ《故郷の歌を聴けば》、アデーレの《侯爵様》、《田舎娘をやる時は》、そしてオルロフスキー侯爵の存在感。
あえて懸念といえば、日本語上演ということで、全体の流れを崩さずに音楽のリズム感をどう保てるか?

しかし結果として聴衆目線では日本語で上演して成功だったといえる内容の充実ぶり。
何よりもみなさんの卓越した演技ぶりに脱帽。最適のキャスティング!
アドリブの独白あり、指揮者とのボケとツッコミあり、ヴェルディのアリアの重唱?あり、出演者の皆さんも意図的でなく?自ら楽しんでいた。原語の時より演技が生き生きしているような感じを受けたのは気のせい???

小貫さん、まさにこの役のはまり役。コミカルさが最高!少し調べてみると、3年少し前に内幸町でピアノ&ヴァイオリン伴奏で、同じ役を聴いてました。スイマセン。。。
塩田さんもアルフレードに言い寄られる場面では「こまっちゃうわ、わたし。。。」て感じがありあり。
青木さんはイメージピタリの存在感。ある意味宝塚の女優さんのような凛々しさ。
高田さんは根っからのテノールで歌好きのよう。自由奔放、伸びやかな響きが魅力的。
そして坂井田さん、乙女の仕草や可憐な演技がキラリ!☆☆☆

考えてみると、日本語で歌うことでソリストの皆さんも聴衆もドラマに集中できたのではないか。正直言うと、日本語訳が音楽に乗らず苦しい場面もあったことは確か。。。しかしそんなことは些細なことで、劇そのものを楽しめたのは大きい。
とかくオペラ・オペレッタは「歌」劇になりがちだが、今日のは歌「劇」。ふと、ドイツ語やイタリア語などを母国語をする方はこんな見方・聴き方なんだろうなと思った。新年のウィーンで上演される理由が少しはわかった気がする。

いくら字幕をつけようと理解度...否、本来娯楽としてのオペラを楽しむには劇の内容が耳から理解できることに勝ることはない。舞台への集中度、没頭感が原語の時とではまるで違う。
「オペラは原語で上演してこそ作品の本質が理解できる」
その考えは変わるわけではないが、作品によって、あるいは上演の機会によっては日本語上演のほうがより作品の意図するところを伝えられる。そんなことを考えさせてくれた、楽しいひと時でした。


〈データ〉

二期会創立60周年記念公演 
オペレッタ「こうもり」(日本語上演)
2013.2.13(木) 18:30
東京文化会館

アイゼンシュタイン:小貫 岩夫
ロザリンデ:塩田 美奈子
フランク:三戸 大久
オルロフスキー:青木 エマ
アルフレード:高田 正人
ファルケ:宮本 益光
ブリント:李 宗潤
アデーレ:坂井田 真実子
イダ:井関 麻衣子
フロッシュ:櫻井 章喜

指揮:大植 英次
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

【料金】 S席 18,000円

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