カルメル派修道女の対話

  • 2013.10.25 Friday
  • 23:53
自分が合唱で参加していても、「会場で聴いてみたい!」と思う演奏会は間々あるもの。今回の作品はそういった作品かもしれない。
フランシス・プーランク。今年は没後50年のアニバーサリーイヤーと言っても、世間ではヴェルディやワーグナーばかり。先日のブリテンも然りだが、あまり話題にはならなかった。
しかし個人的には興味がある作曲家。ラヴェルやドビュッシーの影響を受け(ピアノの先生は彼らの初演を多く手掛けた方とのこと)、「はっ!」とするようなスリリングな作風が好きだ。手元にもパスカル・ロジェによるピアノ作品集や小澤征爾・ラベック姉妹による「2台のピアノのための協奏曲」がある。以前コーアでも「グローリア」を演奏したこともあるし。

今回の作品は「カルメル派修道女の対話」。演奏会の曲目と決まった時は興味がある程度のため、作品名自体聞いたことあるようなないような???状態。楽譜を見たらまた???。あまり歌う箇所がないのだ。まあ、オペラだから仕方ないが...

しかし合唱のボリュームは少ないが、練習を始めたら四苦八苦。後半はヴォカリーズだが、なんてことない音でも和音がハマらないのだ。練習すればするほど何が正しい音かわからなくなってくる始末。聴きあう大切さを嫌というほど感じた。

ピアノ・プローベの時、何人かのソリストの方の声を聴いた。甘いが張りつめた緊張を随行した声が響く。説明はいらなかった...「凄い!」。もちろん歌唱能力の高さもあるが、それに加えて普段あまり聴きなれないフランス語の歌唱に、作品のもつエネルギーが凝縮されている。この時ふと脳裏を過ぎった「ああ、会場で聴いたら面白いだろうな」と。

ソリストの方の声は合唱部分のオケ合わせなど、限られた機会の中でしか聴いていないので、本当ならどなたが出色の出来かは断定的なことは言えない。しかし敢えて自分なりに短時間で感じた中では、与儀さんと秦さんが素晴らしい。
与儀さんは初めて聴かせていただいたが、甘く伸びやかな声質は自分好み。何より聴いていて安定感がある。今後に更に注目だ。また秦さんはヴェルレクでもご一緒させていただいたが、安定した引き締まった声質は一級品。どんな作品も歌えるような器用さがあるような気がする。

2回の休憩を挟んで3時間を超える大作。マエストロ矢崎のタクトが静かに下された時、ほぼ満員の会場のあちらこちらから、「ブラーヴォ-!」の声が飛びかった。鳴り止まぬ歓声と拍手。カーテンコールは何回続いたろうか...これまで何回もコーアに出演させていただいているが、初めて経験することだ。
ほとんどの聴衆がこの作品に初めて触れたであろうことを考えると、マエストロの統率の元、出演者が力を出し切った時、作品に生命が吹き込まれ、人の心を揺り動かすものが創造される。音楽の力って凄い!Power of Music !

〈データ〉

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第273回 定期演奏会
2013.10.25(金) 18:00
東京オペラシティ コンサートホール

プーランク:歌劇「カルメル派修道女の対話」(全3幕・演奏会形式)

ブランシュ・ドゥ・ラ・フォルス:浜田 理恵
ドゥ・ラ・フォルス侯爵、第2の人民委員・獄吏:萩原 潤
騎士、司祭:与儀 巧
ドゥ・クロワシー修道院長、マザー・ジャンヌ:小林 真理
リドワーヌ修道院長:半田 美和子
マリー修道女長:秦 茂子
シスター・コンスタンス:コロンえりか
第1の人民委員:大川 信之
従者ティエリー、医師ジャヴェリノ、役人:金沢 平
シスター・マチルド:布施 奈緒子
修道女:東京シティ・フィル・コーア
群衆:東京シティ・フィル・コーア

指揮:矢崎 彦太郎



 

ベルシャザールの饗宴@オペラパレス

  • 2013.10.01 Tuesday
  • 23:12
ウタ友が出演することもあり、業界では有名なオラトリオである、ウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」を聴いてきた。

この曲を初めて聴いたのはコーラスにハマッてそんなに時間が経ってない頃。
第一印象は「けたたましい!」そして「カッコイイ!」。確か、合唱譜まで買って、4分の5の変拍子の快感に浸ったけ...もうかれこれ四半世紀は経つだろうか...

その当時は演奏されることはほとんどなかったように記憶しているが、うれしいことにここ数年だけでも3〜4回は演奏されている気がする。決して易しい曲ではないと思うが。

兎に角、今日のメンバーも凄い!東フィルに、新国の合唱団に、指揮は先日の「戦レク」同様、日本での英国音楽の第一人者、尾高さん。否が応でも期待のカーブはあくまで右肩あがり。

いよいよトロンボーンの咆哮の後、男声合唱だ!
初めが肝心とは言うが、最初の数小節で曲の印象、演奏の出来具合が決まるといってもいい。
「ウンウン!」という印象を期待したが、結果は「ウン???」だった。

なにか違う。人数は約140名と申し分ないし、ましてやプロだ。圧倒的とは言わないがそれなりの音圧を感じると思ったが、全然音が飛んでこない。なにか舞台と客席の間にシルクスクリーンでも張ったよう。それは女声も同じ。音がくぐもっている。
また、その印象とは別に、よーく聴いてみると、曲によってが合唱の歌いだしと終わり、縦のラインが揃っていない。100分の5秒ずれている感じだ。”管楽器打楽器大集合”の様を呈するこの曲で、切れ味鋭いナイフのように縦のラインが「スパッ」となっていないのは、曲の魅力を半減させてしまう。

自分としては聴き終わった後の印象はいまひとつ。なぜそうだったかはあとで聞いた話でわかった。

舞台上に反響板がなく、合唱団が一番苦労したそうな。パートや全体の声がほとんど聴こえずいつだれかが飛び出してもおかしくないような状態だったと...
ああ、なんてこった!他のコンサートホールで聴いたら全く別印象だった可能性大だ。

主催者の方へお願いだ。
このコンサート、パンンフレットには「今年度の文化庁芸術祭オープニング 国際音楽の日記念」と銘打ってある。いわば「ハレの日」の特別な音楽。また、初めてこの曲を聴く人にとっては第一印象になる演奏。
なぜ今日の会場になったのかわからないが、この会場でやるにしても移動式の反響板もあると聞く。
合唱も細かいことはあるものの力演。オケもバンダも熱演、尾高さんもツボを得た、華麗な指揮ぶりだっただけに、できうれば演奏者も聴衆も、会場内全ての人が満足しうる、よりよい舞台設定を目指してほしい。

パンフレットを再度眺めて気が付いた。今年はウォルトン没後30年の年でもある。

なお、ユーチューブに去年のPromsで尾高さんが指揮した「ベルシャザールの饗宴」がアップされています。興味ある方は是非ご覧を!なかなかの演奏です(ああ、いつかこの曲を歌いたい!)


〈データ〉

平成25年度 文化庁芸術祭オープニング 国際音楽の日記念
2013.10.1(火) 19:00
新j国立劇場 オペラパレス

ディーリアス:オペラ「村のロミオとジュリエット」より間奏曲〜楽園への道〜
エルガー:コントラルトと管弦楽のための連作歌曲集「海の絵」
ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」

メゾソプラノ:加納 悦子(海の絵)
バリトン:萩原 潤(ベルシャザールの饗宴)
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:尾高 忠明

【料金】 A席 3,000円

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