アレクサンドル・ネフスキー@愛知県芸術劇場

  • 2017.02.25 Saturday
  • 22:50

先月に続き、「アレクサンドル・ネフスキー」を聴いてきた。場所は名古屋だ。

 

生演奏を聴くのは3回目でもあるため、今回は今まで気付かなかったような弦のトレモロなどが聴こえ、思わず「はっ」とする瞬間も。

 

合唱はグリーン・エコー。名古屋では歴史ある団体のようだが初めて聞かせていただいた。人数は女声90、男声40の130人ほど。

力演ではあったが、物足りなさを感じたのも事実。

 

曲から想起される、大地からじわじわと湧き上がってくるエネルギーというか熱気が伝わってこない。そのため音が平板に聴こえてしまい、音のうねりが感じられずじまい。第4曲など、マエストロが盛んに合唱も挑発しているのだが、次のffが出で来ない。たぶん、全曲mfかfで歌ってしまっているので、膨らみ切れないのだと思う。

また楽譜の手持ち。東響コーラスのように「必ず暗譜」がいいかどうかは別として、今日のような激しい曲は一部でもいいから暗譜で歌うべきだと思う。中には暗譜されている方もいたであろうが、楽譜の”ガン見”は曲の勢いを削ぐばかりでいいことはない。

合唱団には今後のさらなる精進を期待したい。

 

6曲目に出てくるメゾ・ソプラノ独唱。今日の福原さんは1曲目から舞台上に座っている状態だったが、過去3回聴いた演奏の中ではもっとも詩の意味を導き出した歌いっぷりだった。

 

ショスタコもハチャトリアンも指揮者、オケともきりり!と引き締まった好演だっただけに、メインプロでの消化不良感が残念だった。

 

P.S. ハチャトリアンのフルート協奏曲ってどんな曲?と思っていたら、聞き知ったメロディーが...プログラムをよく見ると、確かにヴァイオリン協奏曲の編曲と書いてある。

去年聴いたユリア・フィシャーの演奏も凄かったが、今日のフルート版も緊張感漲る、素晴らしい演奏だった。

 

 

〈データ〉

 

名古屋フィルハーモニー交響楽団 第443回 定期演奏会

2017.2.25(土) 16:00

愛知県芸術劇場 コンサートホール

 

ショスタコーヴィチ:交響詩「十月革命」

ハチャトリアン:フルート協奏曲(ヴァイオリン協奏曲の編曲)

プロコフィエフ:カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」

 

【料金】 A席 5,100円

コジ・ファン・トゥッテ@新国立劇場

  • 2017.02.24 Friday
  • 23:57

砂田さんからお誘いをいただいて、オペラ研修所修了公演に行ってきた。演目は「コジ・ファン・トゥッテ」

 

フィオルディリージを演じた砂田さんは、贔屓目なしに演技・歌唱とも素晴らしく、キラ星のごとく輝いていた。

第1幕の「Come scoglio immoto reata」、第2幕の「Per pieta,ben mio perdona」とも低域から高域までと音の幅があるにも関わらず、その心情を見事に吐露した歌唱は公演中最大の拍手を得ていた(チラ見した限りではマエストロも同様な称賛)

本来なら砂田さんはコロラトゥーラを駆使するよう曲を最も得意としていると思うが、その技も持っている彼女だからこの難曲も見事に歌えたのだと思う。

 

デスピーナの城村さんとドン・アルフォンソの氷見さんも好演。

城村さんはその声質が役柄に求められるものとピタリとハマるよう。レチタティーヴォとアリアも明瞭で音楽に一番乗っていた。その自然な演技と晴れやかな笑顔も加わり、聴いていて心地いい。

氷見さんは、貫禄十分な太い声と落ち着いた身のこなしで舞台を引き締めた功績は大。

 

この公演で17期生の方は修了となるが、スタートラインに立ったばかりの心境だろうか。今後のそれぞれの課題に対して精進を続けていってほしい。

 

しかしこのオペラ、よーく聴いていると出演者のアンサンブルがしっかりしないと魅力が大きく損なわれるうえ、その中で突然アリアが出てきたりと、素人目で見ていても難しい作品。やはりモーツァルトだ。

 

 

〈データ〉

 

新国立劇場オペラ研修所終了公演

2017.2.24(金) 18:30

新国立劇場中劇場

 

モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ

 

フィオルディリージ:砂田 愛梨

ドラベッラ:小林 紗季子

グリエルモ:大野 浩司

フェルランド:水野 秀樹

デスピーナ:城村 紗智

ドン・アルフォンソ:氷見 健一郎

 

指揮:高関 建

管弦楽:藝大フィルハーモニ管弦楽団

合唱:東京藝術大学他

 

【料金】 全席指定 4,320円

 

 

連隊の娘@びわ湖ホール

  • 2017.02.11 Saturday
  • 22:15

不覚にも前日の朝起きたら、のどが...「もしやカゼ???」と思いながら、その日の夕方にガラガラ声に。

夜中に何回も起き喉の痛みを感じながら「明日行くのは無理かも...」と思うが、幸いにも咳が断続的に出ず、熱もないので予定通りびわ湖ホールへ向かった。

 

今日の演目は「連隊の娘」。お話はご存知のように「連隊の中で育てられた娘が、紆余曲折あるものの愛する人と結ばれる」というハッピーエンドストーリー。もっと演奏されてもよさそうな演目だが、演出の中村さんも上演に先立つ話の中で「テナーにハイCが何回も出てくるので、人に恵まれないと難しい」とのこと。

ソリスト陣は、一部ゲストもいるが、基本的にホール専属の「びわ湖ホール声楽アンサンブル」のメンバーが担った。

 

さて内容だが、来た甲斐があった、充実の演奏会だった。

まず、主役二人の出来が出色。

マリー役の藤村さん。マリーという役を存分に演じきったのではなかろうか。

前半、連隊という男性中心社会で育ったので、その”おてんば”感をさりげなく、随所に出すことに成功。後半は一転して華やかな衣装に身をつつつんだものの、育った環境の癖が抜けないことに四苦八苦?自由なマリーが全編に溢れていた。

トニオ役の山本さんもいい。声楽アンサンブルOBとのことだが、のびやかな声は天性のものか。ハイCがある、有名な”Ah! mes amis, quel jour de fête!”も難なく歌い切り、聴衆の盛大な喝さいを浴びていた。

 

歌唱は原語のフランス語。その他の歌手陣も総じてレベルは高いが、敢えて気になった点を挙げれば、そのフランス語がぎこちなくレベル以上のものに仕上がっていない方もいたことか。今後の課題の一つだろう。

 

中村さんの演出もいい。演出は聴衆の想像力を引き出すきっかけになればいいのでは?と日頃思っているので、シンプルながらも奇をてらわず、作品の時代背景を聴衆に伝えている姿に共感。

持論になるが、オペラが日常生活に溶け込んでいる欧米とは違い、手堅い演出こそ日本でオペラの裾野を広げることになると思うのだが...

 

そして今日の公演の成功は何といっても、マエストロ園田の手腕にある。

音楽にとって大事な”間”の取り方が絶妙!大阪交響楽団の方々も素直に反応。その結果、音楽がスムースに進行し、オケや歌手陣から出される音が生き生きと聞こえた。そんな感じなので全員が気分よし。その結果、出演者も聴衆も肩を張らずに作品を楽しめたのではないだろうか。

 

最近、地方での演奏会に通うようになった。それは「すべてが東京にあるわけではない」、別の言い方をすれば、「どれだけ魅力的なプログラムをどんな思いで届けているか。そして演奏の満足度はどうか」という視点から眺めてみたいと思ったからだ。

そして今日の演奏を聴いてみて、改めて当初の思いは変わらないと思った。

地方でオペラ公演をすること自体、人材、経費、時間とも相当な覚悟が必要だろうことは想像に難くない。であるなら、創意工夫して満足度の高い公演を続けていってほしいと願うばかり。びわ湖ホールもその一翼を担っていると思うし、今後も大いに期待したい。

 

来月から始まる沼尻さんの「リング」、当然行きます!

 

P.S. 返す返すも残念なのは、自らの体調が不十分だったこと。普通の体調ならもっと楽しめたと思うし...周りに座った方々にはMy咳が邪魔にならないよう最大限の配慮をしたつもりですが。。。次回以降気を付けますのでお許しを。

 

 

〈データ〉

 

びわ湖ホール オペラへの招待

2017.2.11(土) 14:00

滋賀県立芸術劇場びわこホール 中ホール

 

ドニゼッティ:歌劇「連隊の娘」

 

指揮:園田隆一郎

演出・お話:中村敬一

管弦楽:大阪交響楽団

出演:びわ湖ホール声楽アンサンブル

   マリー:藤村江李奈(ソプラノ)

   トニオ:山本康寛(テノール)

   侯爵夫人:本田華奈子(メゾ・ソプラノ)

   シュルピス:砂場拓也(バリトン)

   オルテンシウス:林 隆史(バス・バリトン)

   農夫・侯爵夫人:増田貴寛(テノール)

   伍長:内山 建人(バス)

 

【料金】 5,000円

 

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728    
<< February 2017 >>

いらっしゃい!

ブログパーツUL5

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM