ヴェルレク@サントリーホール

  • 2018.03.07 Wednesday
  • 22:15

武蔵野合唱団のヴェルレクのお誘いを受けたので、久しぶりにサントリーホールに行ってきた。改修後初めだが、なんとなく以前のほうが落ち着いていたのは気のせいか...

 

通常は休憩なしに演奏されるが、プログラムによるとDies Iraeの後に休憩を入れるという。休憩が入るヴェルレクも多分初めて。

そしてコンマスも入りソリストも入ってきたが、バスが妻屋さんでなくて青山さん。???と思っていたらマエストロが「ほんの90分前までは妻屋さんの朗々たる声が出ていたのですが、その後次第にでなくなり...急いで連絡を取り歌っていただけるとOKが出たのが青山さんです」マイクで語りだした。

 

そんなアクシデントもあったようだが演奏は聴きごたえがあった。

 

まず、合唱団。女声110名程度、男声40名程度の人数だが、声量バランスは見た目の人数の差をまったく感じさせないものだった。

冒頭のRequiemに続くDies Iraeは、ヴェルレクに参加した者なら、一番の歌いどころ!と誰もが思い、命を懸けんばかりに前のめりになるが、ここも無謀に暴走せず、抑制のきいた理性的な高揚感が感じ取れたのは秀逸。またsotto voceと指示があるQuantus tremor est futurus...も子音がしっかりと明瞭に飛んでおり、歌いこんだことが伺える。

 

ヴェルレクは大雑把に分けると、Dies Irae までが合唱中心、その後はソリスト中心と言えないこともないため、結果的にDies Iraeの後で休憩を入れるのも悪くはない。

 

一方、ソリストで輝いていたのはアルトの山下さん。たぶんこれまでも聴いたことはあるとは思うが、その中低域から下支えしながら発せられる奥行きのある声質と表現力は、この作品を歌うに最もふさわしいもの。プログラムにはかのバッティストーニ指揮のヴェルレクでも歌っているとの記載もあり、さもありなんの感。山下さんが出演するヴェルレク、また聴きたいと思う。

 

ヴェルレクの最後を飾るLibera me。聴きこんでいる方は、冒頭のソプラノによるsenza misuraと指示されたlibera meに大注目。今日の森さんはどんな表現をするのか楽しみにしていたが...結果はだいぶいただけないもの。素人が言うのもだが、どうしても歌おうとしてしまっている感じがした。次に期待したい。

 

アマチュア合唱団がよくヴェルレクを演奏するが、久しぶりにを聴いてみて、この作品を真に表現するには相当の技量が必要なことを改めて感じた。特に合唱団としてはDies Iraeの表現の仕方とOffertorio以降の曲の中での立ち位置がいつも課題になるような気がする。

 

 

〈データ〉

 

武蔵野合唱団 第50回定期演奏会

2018.3.7(水) 19:00

サントリーホール 大ホール

 

ヴェルディ:レクイエム

 

指揮:小林研一郎

 

ソプラノ:森 摩季

メゾソプラノ:山下 牧子

テノール:西村 悟

バリトン:青山 貴

 

管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

 

 

【料金】 S席 6,000円

 

ワルキューレ@びわ湖ホール

  • 2018.03.03 Saturday
  • 23:57

昨年から始まった〈びわ湖リング〉

今回は第1日の「ワルキューレ」を見るために会場まで足を運んだが、結論を言えば、行った甲斐がある、納得の熱演だった。

 

演出のミヒャエル・ハンペ、美術・衣装のヘニング・フォン・ギールケともシリーズを通してなので変わらず。

さて、演出だが非常にわかりやすくシンプルで、誰にでも受け入れられるのではと思わせるつくり。

 

第一幕、暗く陰鬱な雪吹きすさぶ光景を描写したあと、倒れこむようにフンディングの館に入って来たジークムント、その後ジークリンデと邂逅したことによって、一転して緑豊かな春の風景が描写されたかと思うと次には有名な「冬の嵐は過ぎ去り」が歌われる。

第二幕、前半のヴォータンとブリュンヒルデ、そしてフリッカとの応酬の場面は薄暗い円形の場で、ジークムントとジークリンデが登場すると、岩山を見渡す場で2人の葛藤が演じられる。そしてブリュンヒルデが登場すると、〈死の告知〉を表すように、場面がより一層漆黒に近い、深緑や深紺のまだら状の様相を呈した。

第三幕、鳥のくちばし状に左側に突き出た岩盤上を中心にドラマは進行。ワルキューレの乙女たちが歌い駆け、ジークリンデとブリュンヒルデ、そしてブリュンヒルデとヴォータンの葛藤。そして、ブリュンヒルデを岩盤上に横たえたヴォータンは娘の意を汲んで、ローゲを呼び出し、炎によってブリュンヒルデを取り囲ませた...

 

ソリスト陣では何といってもヴォータンのユルゲン・リンとブリュンヒルデのステファニー・ミューターの2人が圧巻。

20〜30分歌い続けても減衰しないことはもちろんだが、声質が太く、張りがあり、発音も明瞭かつ明晰。こうしたハイレベルの方は多分欧米には普通にいるのではないかと思うと、本場の底知れぬ厚みを感じてしまう。

 

ただ、日本人も大健闘。まずはジークリンデの森谷さん。

冒頭の静かな入りから中盤の劇的な部分まで、その外国キャストに引けを取らない、強くたくましい歌唱と目を離させない全身を使った演技力には目を見張った。以前から気になる方ではあったが、持てる力量を生で拝見させていただいたのは初めて。今後も注目だ。

そして、もうひとりがフンディングの斉木さん。その存在感と響き渡る低音は外国キャストと堂々渡り合うレベル。

 

以前のブログでも書いたが、特にワーグナー作品で日本人が主役の座を射止めるのは困難極まりない。それは努力や才能を超越した、体格などの他の要因が大きいと思われるからだ。それならば、自らの立ち位置をしっかり見つけて、そこにひたすら磨きをかけていくことが、実力本位の世界で生き残るには絶対的に必要だと、今日の森谷さんの熱唱熱演を聴いて見て改めて感じた次第。

 

オケは京響。年間オペラをどのくらい演じているかはわからないが、最後まで弛緩することなく場面場面の音をしっかり出し続けたのは集中力が欠けなかった証拠だろう。もう少し躍動感がほしいところもあったが、十分な熱演。

 

そして全体を成功に導いたのはホールの芸術監督であるマエストロ沼尻。

マエストロの凄いところは、全体を俯瞰的に見て、場面場面で最適の音作りをしていくバランス感覚。無駄な力を極力排除して指揮し、ある部分は流れに任せる柔軟さがあるのだろう。それが出演者全員に浸透しているためだろうか、舞台に勢いがあるのがいい。

冒頭など、オケの押しや引きがもっとほしいと思う個所もあったが、こなれてくれば躍動感は自然と出てくるのではないだろうか。今後のオペラでもますます期待したい指揮者の一人であることは間違いない。

 

それにしても、ワーグナーという作曲家、先日のローエングリンの ”In fernem Land"、今日の”Winterstürme wichen dem Wonnemond" といい、あの流れのなかでこんな素敵な音楽を作るなんて、最大最高の演出家かもしれない。

最近演奏会形式のオペラ公演が増えておりそれはそれで意義はあるが、やはり最終形は舞台で見て思う存分五感を刺激したい。

 

 

〈データ〉

 

びわ湖ホール プロデュースオペラ

ニーベルングの指輪 第1日 「ワルキューレ」

2018.3.3(土) 14:00

滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール

 

指 揮: 沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)
演 出: ミヒャエル・ハンペ
美術・衣裳: ヘニング・フォン・ギールケ


ジークムント: アンドリュー・リチャーズ

フンディング: 斉木健詞

ヴォータン: ユルゲン・リン

ジークリンデ: 森谷真理

ブリュンヒルデ: ステファニー・ミュター

フリッカ: 小山由美

ゲルヒルデ: 小林厚子

オルトリンデ: 増田のり子

ワルトラウテ: 増田弥生

シュヴェルトライテ: 高橋華子

ヘルムヴィーゲ: 佐藤路子

ジークルーネ: 小林紗季子

グリムゲルデ: 八木寿子

ロスワイセ: 福原寿美枝

 

管弦楽: 京都市交響楽団

 

 

【料金】 A席 13,000円

ローエングリン@東京文化会館

  • 2018.02.22 Thursday
  • 23:33

都民芸術フェスティバル参加公演でもある、二期会の「ローエングリン」を見るため東京文化会館に行ってきた。残念ながらカゼ気味で体調はよくなかったが。

 

結論を言えば、残念ながら「うーん...」という感じだろうか。聴き終わった時、なぜかオペラが持つ喜怒哀楽の表情が伝わってこなかったのは非常に惜しい。

それは第一幕から感じたことだった。壮麗な前奏曲に続いて舞台は進行していくが、なかなか熱気を帯びない。最後の決闘によってなんとか盛り上がったが...それは第三幕まで尾を引いたような気がする。


冷静に考えると、一つは全体的にドイツ語が明瞭に飛んでこなかったため、歌唱の響きが上ずったものにしか聴こえなかったことがある。オケの音ばかりが大きく聴こえるような場面もしばしば。また、特に主役のエルザやローエングリンに突き抜ける音の響きがなかったことが大きい。

 

そんな中で一人気を吐いた感があるのが、第二幕を引っ張った、オルトルートを演じた清水華澄さんだろう。彼女から爆発的で突き抜ける音が発せられたとたん、場の雰囲気ががらりと変わり、劇がより劇的なものに変容した。

 

オケは並々ならぬ力演だったと言っていいだろう。都響からこれほど響きのある、引き締まった音を聴けるとは失礼ながら思わなかった。また場面場面での音のメリハリもよかった。

前奏曲は壮麗に、決闘の場面は猛々しく、第二幕は悪事渦巻き、第三幕への前奏曲は華やかに、婚礼の合唱は清楚で厳粛、大好きなハインリヒ王を迎える間奏曲は神々しく...

 

そして、オケからそんな音を引き出したのが準・メルクル。全体を眺めたバランス感覚はさすがにうまい。しかし、オケと歌が完全にシンクロで、流れ続けていたかというと難しい。これも、Semperoperを見た直後からかもしれない。

 

 

〈データ〉

 

東京二期会オペラ劇場

2018.2.22(木) 14:00

東京文化会館

 

リヒャルト・ワーグナー:ローエングリン

 

指揮:準・メルクル

 

ハインリヒ・デア・フォーグラー:金子 宏

ローエングリン:小原啓楼

エルザ・フォン・ブラバント:木下美穂子

フリードリヒ・フォン・テルラムント:小森輝彦

オルトルート:清水華澄

王の伝令:加賀清孝

4人のブラバントの貴族:菅野 敦、櫻井 淳、湯澤直幹、金子慧一

ローエングリン(青年時代):丸山敦史

 

合唱:二期会合唱団

管弦楽:東京都交響楽団

 

【料金】 D席 5,000円

 

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